相続税の「増税」まであと1年。そのときにあわてないためにも、親族が集まる正月に「親族会議」を開いて、相続について話しておきたいもの。

 しかし、会議がスムーズに進むとは限らない。親子の間には温度差が存在することが多いからだ。

 これを埋めるのに、子どもは、どのように話を切り出し、どうやって進めるか、それも決めておかねばならない。親としても、子どもが話を始めたときの心構えを固めておきたい。

 まずは、相続以外のことで親子二人きりの会話の場を持つことだという。

 正月に親族が集まると、昔話に花が咲くだろう。

「あなたは小学校に行くのを嫌がったから、私が毎日手を引いて連れていった」「また、その話か」とうんざりすることもあるが、「二人だけでその話をもっとしようよ」と水を向けてみる。そして、あらためて親子二人だけで話をする。

 相続については話したくないと思っている親でも、ひとりになると、今後の生活については不安があり、子どもにだけはいろいろ「人生相談」しておきたいものだという。

 介護が必要になったとき、どういう施設に入りたいのか。終末期医療では延命処置をどうするか。葬儀のときは好きだった音楽を流してほしい――。

「それは『生きる』ことに関する話で、むしろ親御さんのほうが話す機会を探していることも多いのです」(税理士法人レガシィ代表社員税理士の天野隆さん)

 会話が弾めば親のほうから相続の話が出ることも期待できる。ただ、親族会議ではすべてを決めることはできない場合もあるだろう。

「事業を営んでいる被相続人であれば、事業を継ぐのは長男か次男か。あるいは、大きな不動産の相続を誰にするかといった、相続の方向性を決めるだけでもいいと思います」(弁護士の長谷川裕雅さん)

 親族会議を開いたことで気まずい雰囲気になり、せっかくの正月気分が吹き飛んでしまうことだけは避けたいものだ。

週刊朝日 2014年1月3・10日号