NHK連続テレビ小説「あまちゃん」超えを果たし、今年の連続ドラマ最高視聴率を記録したのがTBS系列の日曜劇場「半沢直樹」だ。ともに視聴者の「元気の源」になる作品。本誌は20歳以上の500人にウェブアンケートを実施した。

「うまくいかない状況でも、アキちゃんは明るく挑戦する。そして彼女の周りに支える人たちの輪ができる。自分の行き詰まっている日々を忘れられます」

 都内在住の40代主婦は、すっかり「あまちゃん」にハマっている。

 一方で「半沢直樹」を放送するTBSの宣伝部には、「日曜の夜が憂鬱だったけど、『半沢直樹』のおかげで楽しみになった」との会社員の声が寄せられているという。

視聴者はどんなふうに両作品から元気を受け取っているのだろうか。7月29日、インターネット調査会社ミクシィ・リサーチの協力を得て、「『あまちゃん』と『半沢直樹』を見たことがありますか?」という質問に加え、職業(サラリーマンについては役職も)や両作品に元気をもらっている理由(自由記述)などに関して調査した。回答したのは男性308人、女性192人。年代では40代が35.4%で最多だった。

「あま」を見たことがある人は38.6%、「半沢」は38.4%で、調査時点で3回しか放送されてなかった「半沢」の強さが光る。年代別にみると、30代、40代の働き盛りで「半沢」が強く、50代、60代以上になると「あま」が勝る。

 また「半沢」を見ている女性は、既婚者が未婚者を17.2ポイントも上回る。「半沢」にハマったご主人の影響で、一緒に見ているのだろうか。

 地域別に見ると、両方見ている率が最多だったのは四国で36.4%。最少だったのが北海道・東北の9.3%。「あま」だけ見ている率は北海道・東北の34.9%が断トツで、地元が舞台のドラマに注目している様子が垣間見られる。

 どちらかを見ている人に 限定して職業を尋ねると、両方見ている率は自営業の50%で最も高かった。「半沢」を見ている率は派遣・アルバイトと主婦が71.4%でトップに並んだ。回答者の声を拾うと、「『あまちゃん』を仕事前に見ると、楽しい感情そのままで仕事に入れる」(63歳・男性、自営業)、「堺雅人さんの演じる半沢直樹は、苦境に立たされても必ず活路を見いだして逆転していく。あの姿に憧れる」(50歳・男性、サラリーマン〈係長・主任クラス〉)

 両方見ている人では、「どちらも主人公が逆境に立ち向かうところに感銘する」(67歳・男性、サラリーマン〈一般社員〉)という声があった。

 NHKの訓覇(くるべ)圭プロデューサーは「あまちゃん」の発する元気のもとについて、「脚本の宮藤官九郎さんと一緒にやれたことが肝になっています。笑えるかどうかが大切なポイントです」と語る。クドカンの笑いはエッジが立ち、毒気の強いものが多いが、今回は朝から視聴者の目に触れるので、「笑いの質と量」に心を砕いたという。

「朝からトゲのある笑いが続くと少しキツいでしょ? 全体のバランスをみて、誰に笑いどころを演じさせるか、にもこだわりました」(訓覇さん)

 一方、TBSの伊與田(いよだ)英徳プロデューサーが「半沢直樹」を制作する上で大切にしたのは「爽快感」だ。

「日曜の夜は翌日からの仕事に備える特別な時間。明日も頑張るぞ、という爽快な気分になれるような作品を目指しています」

 TBSの日曜劇場で、2話目の視聴率が初回を上回るのは10年ぶりという。伊與田さんは驚きつつ、「よい原作とキャスティング、よい演出や音楽などの化学反応が起きたかな」と好調の要因を分析する。主人公の「倍返しだ!」との決めゼリフに爽快感を感じている人も多い。

週刊朝日  2013年8月16・23日号