丸山茂樹 イップス克服がゴルフ人生最後の闘い 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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丸山茂樹 イップス克服がゴルフ人生最後の闘い

連載「マルちゃんのぎりぎりフェアウエー」

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 ゴルフのパッティング時に用いる「アンカーリング」が禁止となった。プロゴルファーの丸山茂樹氏は、これに賛成する理由を明らかにするとともに、これからのゴルフ人生への決意を表明した。

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 今回は最近話題になっているパターのルール変更についてお話ししましょう。ゴルフの規則を統括している英国ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ(R&A)と米国ゴルフ協会(USGA)が先日、「アンカーリング」を2016年1月から全面的に禁止すると発表しました。

「アンカーリング」と言われても、ピンとこない読者の方もいらっしゃるでしょう。中尺・長尺パターのグリップエンドを胸や腹に固定して支点にします。そして船の錨(いかり=アンカー)を揺らすように、ヘッドを動かしてボールを打ちます。

 アンカーリングを使う選手たちが急激に台頭したために、禁止の流れになったんですね。いまや米男子ツアーでは全体の約2割ですって。11年の全米プロを制したキーガン・ブラッドリー(米)もそう、昨年の全英オープン覇者のアーニー・エルス(南ア)もそう、今年のマスターズで勝ったアダム・スコット(豪)も。

 USGAサイドは、「ゴルフのプレーの原則はグリップを手で握り、何にも頼らずに振ること」と主張してるんです。

 アンカーリング派の中には訴訟を考えている選手もいるそうですが、僕は禁止に賛成です。どうせなら、「パターは36インチまで」というふうに、長さも決めちゃったほうがいいんじゃない?と思うぐらいです。

 これだけ道具が進化した中で、ショットパフォーマンスの面から言うと、相当に易しくなってると思うんです。そこでなおかつ、それ以上の易しさを求めたら、ゴルフのうまみってどこにあるのかな、と。

 僕はいま、ドライバーのイップスにかかってますから、アンカーリングに頼りたい気持ちも分かるんです。でももう一方で、自分を他人として眺めたら、「それを乗り越えてこそ、お前じゃないか」と思うんですよね。

 僕にもルール変更を乗り越えた経験があります。10年1月から、アイアンとウエッジの溝の容積と縁の鋭さが制限されました。あのとき、僕はサンドウエッジに関しては、その2年半も前から、新ルールに適合したものを使いました。世界で最初だったと思いますよ。苦しむのが嫌だったんです。サンドウエッジが生命線だと思ってましたし。そういう対策をすれば、「為(な)せば成る」わけです。16年までたっぷり時間があるんですから。

 アンカーリングが禁止になると、どうしても短いパターが使えない選手は、体に触れないギリギリのところでやるしかない。今シーズン好調のマット・クーチャー(米)みたいに、長いパターを手と腕で使う人が増えてくるのかな。他にも、「こんなやり方があったのか」「ルールのすき間を突いてきたなあ」っていうような、スゴい打ち方が出てくるんじゃないですか?

 2年半ありますから、勝つためにはハンパじゃない試行錯誤をするでしょう。それはそれで楽しみです。世界のルールは、R&AとUSGAの2大協会で決まってますから、もうこれは仕方のないこと。そこでダメなら、そこまでの選手だったってことです。

 僕もイップスと向き合います。天国か、地獄か。これは僕の、ゴルフ人生最後の闘いだと思ってますから。

週刊朝日 2013年6月28日号


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丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表ヘッドコーチを務める。19年9月、シニアデビューした。

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