巨額詐欺集団と密接弁護士 自殺の背後に深い闇

2013/06/07 11:30

 ある一人の弁護士の自殺が波紋を呼んでいる。森田哲治氏(54)。彼の死が注目される理由――それは、彼が多くの反社会的集団とかかわっていたからだ。自殺が発覚したのは、5月11日のことだった。

「午後2時30分ごろ、首をつった状態で発見されたようです。森田氏は今年の1月末に自己破産しており、弁護士資格も失効していた。妻とも離婚しており、金銭的、精神的に追い詰められていたのでしょう」(森田氏と親しかった弁護士)

 森田氏は1988年に一橋大法学部を卒業し、翌年、司法試験に合格。数年後に独立し、事務所を開設した。森田氏の知人が語る。

「2004年ごろから徐々に、依頼者からの預かり金を着服、流用するようになった。預かり金を使い込み、債務整理や破産事件が何十件も滞留していた」

 10年ごろには、約30万円の事務所家賃の捻出にも困り、周囲に悩みを相談する中で、森田氏は“悪魔のささやき”に耳を傾けてしまう。

「仕事関係者に紹介されたのが、昨年12月に巨額詐欺事件で逮捕、起訴された大山多賀男被告だった。大山被告は森田氏に『事務所の家賃はすべて払う。その代わり、広い事務所に引っ越して一角を使わせてくれ』との要求を出したようだ。森田氏はその話に飛びついた」(前出の弁護士)

 こうして、森田氏は新宿区の豪華な事務所に移った。前出の弁護士によると、約120万円もの家賃を大山被告に肩代わりしてもらっていたという。事務所内にはパーティションが置かれ、森田氏の隣で「大山グループ」が詐欺行為を行うという異常な状態だったようだ。しかも、弁護士事務所側から「大山側」へは鍵がかかり入れないのに、「大山側」からは自由に出入りができる設計だったという。

 大山被告は振り込め詐欺グループなどを牛耳る「黒幕」で、このグループは高齢者ら数百人から約30億円を詐取した容疑で、大阪府警など9府県警の合同捜査本部に逮捕されたのだ。また、昨年9月に六本木クラブ襲撃事件などを起こした「関東連合」とのかかわりも指摘されている。

「関東連合OBは過去に振り込め詐欺でも逮捕されている。OBの中には大山被告と行動を共にした人物もいるようだ」(社会部記者)

 だが、捜査の手が及び、大山被告は12年2月ごろに海外へ逃亡。“金主”を失った森田氏は、再び怪しい案件に手を出すようになる。昨春からは、詐欺的な商法で集団訴訟を起こされている投資会社「スピーシー」と深くかかわり、被害者対応や訴訟の代理人弁護士を務めるなどしていた。法廷で相対したことのある弁護士の一人が語る。

「5年ほど前から、未公開株、社債、匿名組合契約などのサギ商法がらみの企業の弁護をしていたが、通常の弁護活動以上に深入りしている印象だった。ただ、反社会的組織に悪知恵をつけたり、利用したりするタイプにも見えない。むしろ気が弱そうで、反社につけ込まれていたような気もする」

 関係者によると、森田氏は今年1月から「おれは殺される」などおびえた様子だったという。自殺の背後にある闇は、深い。

週刊朝日 2013年6月14日号

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