不振が続くドラマ業界で一人、笑いが止まらないのは、11月からフジテレビ系列で放送されている昼ドラ「幸せの時間」(東海テレビ制作)だ。

 あらすじは、念願のマイホームを手に入れて幸福の絶頂にある家族が、妻の自動車事故をきっかけに、夫が被害女性と不倫、横領も発覚、息子は高校を中退、娘は売春、妻も不倫に走る――という昼ドラの王道、ドロッドロの愛憎劇だ。放送開始直後から話題を呼び、初回視聴率は昼ドラとしては異例の9.6%をマーク。その後も常に2ケタに手が届きそうな好調ぶりだ。

「通常、昼ドラは3%程度で、5%とれたら大ヒットというなか、2ケタ近い数字というのは見たことない。フジでは、鳴り物入りで放送した山口智子の復帰作『ゴーイングマイホーム』よりも視聴率がいい回も。系列局制作の昼ドラに負けるとは、フジのゴールデンのスタッフたちからすれば忸怩(じくじ)たる思いでしょう」(ドラマスタッフ)

 ここまでのヒットは関係者にとっても想定外だったようだ。

「プロデューサーたちはあくまでホームドラマを描きたかった。でも、初回の撮影が終わって編集をする段階で過激なシーンを削除していったら15分くらいしか尺が残らなかった。それで仕方なく性描写のシーンを入れていったら、人気に火がついたんです」(同)

 予想以上の反響を得たことで、過激な性描写に対するクレームも殺到しているというが……。

「以後は多少控えめにしているようですが、それでも安定した数字がとれている。すでに続編の話も出ているようです。『ゴーイングマイホーム』『アイアンシェフ』と局を挙げて宣伝した作品が期待はずれに終わったウチとしては、複雑な気持ちですが(笑い)」(フジ関係者)

週刊朝日 2013年1月4・11日号