50歳を超え、そろって写真を趣味にしている夫婦が増えている。二人で、撮影旅行や家族の成長記録を楽しんでいるのだ。

 写真を趣味にするにはカメラを持たなければいけない。しかし、カメラに興味を持ってカメラ売り場をのぞくと、なにをどう選んでいいのか目を回すかもしれない。《〇〇万画素!》《最新鋭××機能搭載!》みたいなことを書いたポップ広告が並び、どれがいいのかわからなくなる。

 率直に言おう。あなたが撮りたい写真は、いま店頭に並んでいるデジカメならどれでもかなえてくれる。あえて言うなら画素数も気にする必要はない。アサヒカメラに「銀塩光遊学」を連載している写真家の赤城耕一さんは、「画素数競争は行きつくところまでいったので、新品として店頭に並んでいるものならどれを購入しても十分ですよ。選び方のポイントは、カメラのデザインと重さ」だと言う。

 実は写真を始めた人の最初のネックは、「カメラを持ち歩くのが面倒だ」ということ。一概にグラム数だけでは分からないので、カメラを買いに行くときは、実際に持ってみて (必ずレンズも付けてみること!)、ちょっとでも「重い」と感じたら、自分にとってよほど重いカメラだといってよい。

 デザインも大切だ。カメラは持ち歩く道具だから、自分の趣味ではないデザインのカメラを持つだけで、気持ちが下がってしまう。

 夫婦で写真を始めるなら、レンズの使い回しがきくように同じメーカーの同じ種類のカメラを求めるのもいいが、片方がコンパクトかミラーレス、片方がデジタル一眼レフと役割分担をするのも面白い。カメラの数だけ、表現の海は広がるのだ。      

週刊朝日 2012年12月7日号