中国共産党の第18回党大会が11月8日、北京で始まった。この党大会で10年ぶりに最高指導部が交代し、総書記は胡錦濤(フーチンタオ)国家主席(69)から習近平(シーチンピン)国家副主席(59)へと引き継がれる見通しだ。

 そこで注目を集めているのが、次期ファーストレディーとなる習氏の妻、彭麗媛(ポンリーユアン)氏(49)である。彭氏は人民解放軍の専属歌手で、中国では知らない者がいないほどの超有名人なのだ。

「日本の紅白歌合戦のような、大みそかの夜8時から翌日未明にかけて放送される人気歌謡番組でトリを務め、最多出演記録も持つ国民的スターです。昔の日本でいえば美空ひばり。中国国内では、彭麗媛が『習近平の妻』というより、習近平が『彭麗媛の夫』と呼ばれているほどです」(中国ウオッチャー)

 二人が結婚したのは1987年のこと。その前年末、友人の紹介で会ったことがきっかけだった。ジャーナリストの富坂聰氏によると、習氏は出会ってわずか40分で、「生涯の伴侶にすると心の中で決めた」のだという。ただ、それだけが理由で結婚したわけではないようだ。評論家の宮崎正弘氏は、こう語る。

「実は、習近平の母・斉心が、彭麗媛と結婚するよう息子を後押ししたという話もあるんです。当然、国民的人気のある歌手を妻にすればイメージアップにつながるし、何より彭麗媛は歌手とはいえ現役の軍人で、軍内でも絶大な人気を誇ります。習近平が政治的にステップアップするためには、都合がいいと思ったのでしょう。実際、軍を掌握するのに苦労した胡錦濤などと違って、習近平は軍のウケが非常にいいようです」

 実際、“ママのアドバイス”は、やはり正しかった。結婚当初、福建省アモイ市の副市長に過ぎなかった習氏はその後、急速に出世していく。

「アモイ副市長程度では、まだ出世コースとまでは言えませんでした。しかし、結婚後、福州市書記、福建省長と階段を上り、02年には浙江省書記になります。浙江省は中国でも経済的に非常に豊かなところで、ここで出世の展望が一気に開けました」(宮崎氏)

 07年に上海市の書記に就任すると、同年10月にいきなり中央政治局常務委員に大抜擢(ばってき)。翌年3月には国家副主席に就任し、胡国家主席の後継者の座を不動のものにした。母親がすすめた結婚相手は、まさに“あげまん”だったのだ。

週刊朝日 2012年11月23日号