超大型台風並みの「爆弾低気圧」が日本列島を覆った4月3日、東京都の石原慎太郎知事(79)は暴風雨を押して西へ向かった。目的はズバリ、橋下徹大阪市長(42)との会談。ところが、普段は饒舌な2人が、いまだに黙りを決め込んでいる。石原知事側には、何やら事情もあるようだ。
 4日昼、親子ほど年の離れた2人の会談は、大阪市北区のリーガロイヤルホテルで昼食をとりながら行われた。
 会談の翌朝、いつもの大阪市役所内でのぶら下がり取材で、新党構想について話し合ったのかと尋ねられた橋下氏は、「いや、何も」と答えるのみ。
 石原氏も6日の記者会見で「(新党の話は)全然していない」と不機嫌そうに語った。
 ご両人のぶっきらぼうな対応について、民主党幹部は訳知り顔で語る。
「新党構想といっても、2人の隔たりが埋めがたいほど大きいんだろう」
 石原氏にとって今回は、この十数年浮かんでは消えていった新党設立のラストチャンスだ。与野党を巻き込んだ消費増税法案の混乱で、衆院解散・総選挙の時期がいつになるか見通せない中、候補者選定・資金確保など選挙準備を整えるには、なるべく早く設立のめどをつける必要がある。
 だが、選挙戦を勝ち抜くためには「橋下氏抜きでは先がない」(自民党都連関係者)との見方が一般的だ。
 そもそも、今回の会談は、出版社の対談企画のため京都へ行く石原氏が、「時間があれば食事でも」と持ちかけたものだった。しかも、「京都まで出向きます」と言う橋下氏に対し、石原氏が「いや、大阪に行くから」と押し切ったというのだ。
 都議会では3月29日に新年度予算が成立したばかり。「週2回の登庁が石原流」と言われる高齢の"マイペース"知事が、精勤した都議会の疲れも癒やさぬまま大阪入りしたのは、「焦りの色が濃くなってきたからだ」(先の民主党幹部)とも見られている。

※週刊朝日 2012年4月20日号