「知って得する季語」──5月は「新緑」をたっぷり浴びよう

2019/05/11 17:00

ゴールデンウィークも終わり、初夏の趣が強くなってきました。5月6日からは「立夏」に入りましたが、北海道ではゴールデンウィーク中に桜が開花したそうで、まさにこれからが春本番なのかもしれませんね。 春が桜や色とりどりの花々が咲く華やかな季節だとすると、初夏は草々が育ち、木々の新緑がまぶしい「緑」の季節。清々しい気候と新緑のなかでのキャンプやハイキングなど、この季節ならではの楽しみ方もたくさんあり、アクティブな夏が始まろうとしています。 ところで、桜が散ったあと周りを見渡せば、いつの間にか緑の量が多くなっていることにハッとした経験はありませんか? 今回は、そんな季節にふさわしい緑に関する季語をご紹介します。新緑以外にもたくさんの言葉がありましたよ。

美しい「新緑」を表す言葉 この時期の新緑は、緑色がこんなにあったのかと驚くほどグラデーションが豊かであり、清々しい気候に相まって美しさが際立っています。もちろん「新緑」も季語でありますが、実はほかにもその美しさを表す季語があるのです。 ■知っていると通!?「万緑(ばんりょく)」 万は、あらゆる・すべての意であり、見渡す限り緑のみという意味。昭和14年、中村草田男が詠んだ句〈万緑の中や吾子(あこ)の歯生え初(そ)むる〉が名句として広まり、それ以降季語として定着したといわれています。新緑の瑞々しく大らかな感じと、その力強さが初夏を代表する季語のひとつとなっています。 ■シチュエーションごとの○○「若葉」 木々の生え出て間もない葉のことですが、若葉単体で使うことはなく、樹の種類や場所などにつける季語です。例えば、「柿若葉、梅若葉、樟(くす)若葉、椎(しい)若葉」などの樹の種類ごと。中でも柿若葉はつやつやして鮮やかな萌黄色が特徴です。場所につけるのが「山若葉、里若葉、谷若葉、庭若葉」など。また、この頃吹く風を「若葉風」、雨を「若葉雨」と呼びます。 ■語感が心地よい「新樹」 瑞々しい若葉におおわれた樹のことを呼びます。若葉のころは葉もまだ薄く、太陽光を通しキラキラ輝いて見える様子を「新樹光(しんじゅこう)」とも。新緑とは違った呼び方も良い感じですね。
柿若葉の新樹光
柿若葉の新樹光
同時に覚えたい「緑」の季語 ここからは一風変わった、聞きなれない季語をご紹介します。多くの季語のなかでも印象的な初夏の季語たちです。 ■まさに緑のシャワー「緑さす」 初夏の鮮やかな緑を新緑といいますが、その緑が「射して」いるようだという季語です。射すは、日が射すの射す。実は、植物が緑色なのは、光合成をするときに緑色だけ吸収せず反射しているからだとか。そういう意味でも、新緑は一番美しい時季の緑色なのかもしれないですね。 ■思わずウトウト「緑陰(りょくいん)」 青々と茂った樹木の陰のこと。木漏れ日が射していたり、涼しい風が吹いたり心身ともにリフレッシュできそうな明るいイメージの木陰。 ■初夏の風の代表「青嵐」 若葉のころの風で、青々と茂った木々や草原を揺らす、やや強い風のこと。初夏は意外に風が強く、午前中はなかった風が午後から吹いてくることも。名前からして明るく、嫌でない風ですね。 いかがでしたか? 初夏は、ただでさえ気持ちの良い季節ですが、季語の多くもそれにふさわしい美しい言葉ばかりでしたね。 ──言葉や漢字の成り立ちを知ることは、日常生活に膨らみを持たせてくれるはず。 植物は日々成長し、梅雨の時季には「青葉」となり、また違った景色となっていきます。新緑は心と身体を元気にするパワーの源。どうぞ期間限定の新緑の季節をたっぷり楽しんでくださいね。 (参照:俳句歳時記(春~新年) 角川学芸出版 角川文庫/入門歳時記 大野林火・著 角川学芸出版/広辞苑)
三島市源兵衛川の緑陰
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