では、夏にはどんなことに気をつけたらよいのか、五行表を見ながら学んでいきましょう。日本の夏は湿度が高いため、五季では「長夏(ちょうか)」にあたります。長夏のある黄色い部分にあるのが、その季節に関わる臓器や食材など。見ていただくと、五臓のところで「脾」という言葉が出てきますね。ちなみに、東洋医学の「五臓」とは、西洋医学の考える臓器とは必ずしも一致しないもので、脾は西洋医学でいうところの胃腸機能に当たります。食べ物を消化・吸収し、体全体にエネルギーを送るのが脾の役割で、五臓の中で最も重要といっても過言ではありません。この脾が弱ってしまうのが、湿気の多い夏。そして脾が弱ると、肌にも悪影響を及ぼします。

 脾を弱らせないためにはどうしたらよいか、それも五行表に記されています。分かりやすいのは、色。五色には「黄」とあることから、黄色い食材がおすすめとなります。夏に旬を迎えるとうもろこしやかぼちゃ、黄色いパプリカなどがぴったりです。また、五味(ごみ)には「甘」とあるので、甘みのある物もおすすめ。ここでいう甘みは、砂糖ではなく自然の甘さです。さつまいもやかぼちゃなどの甘みを摂るとよいですよ。脾を弱らせないためにも、冷たい物の摂り過ぎやお腹を冷やすことは避けましょう。

■肌にとって大事な「気(き)」と「血(けつ)」

 もう1つ、東洋医学の大事な考え方を覚えておくとよいでしょう。「気・血・水(すい)」というものなのですが、この3つは東洋医学の考える、生命活動に必要な基本物質を表しています。気・血・水が体内に十分あり、スムーズに巡っているのが「健康」な状態と考えられています。
 
 このうち、「気」と「血」をつくっているのが、実は脾です。つまり、脾が弱ると、気や血が不足して体内を巡らなくなり、不健康な状態に陥ってしまうのです。

 気や血はそれぞれ肌の健康にもかかわっています。気には毛穴を引き締めたり、汗の調節を行ったりする働きがあり、気が不足すると毛穴の開きやシワ、たるみにつながり、ハリ(弾力)のない肌になってしまいます。

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