『竹取物語』市川崑監督、作/編曲 谷川賢作
『竹取物語』市川崑監督、作/編曲 谷川賢作

 さて、元気に連載開始です! が、心配。なにしろ連載というものが初めてなので、このなまけもので享楽的な私が根気よく続けられるのだろうか(^_^; まあ「文体」だとかあえて気にせず、ジャズのアドリブのように勢いにまかせていろんなことをどんどん書いていこうと思う。
 まずは初回なので、自己紹介を兼ねた「肩書」の話。

 そう。私はかねがね「音楽家」という肩書を使いたいのだが、メディアの皆様はなかなかそれを許してくれないのです。で、「作編曲家/ピアニスト」という肩書に直されてしまうことが多々あるのですが、これがどうも居心地がわるくて……どうして音楽全般なんでもミーハーに楽しくやっている人、といういい意味での「音楽家=ミュージシャン」ではだめなのかしらん。

 作/編曲の仕事では86年に市川崑監督の『竹取物語』で日本アカデミー賞優秀音楽賞なるものを頂いております。(余談ですが、この時はかのエンニオ・モリコーネ先生が降板した後の私の代打ということもあり、音楽予算が潤沢にあり、サントリーホールで井上道義さんのフルオケ&自分の作曲料等含めてどぎもをぬかれました。そのうち書きます)
 あとNHKの『その時歴史が動いた』。これも私の名前が売れた、たいへんありがたい1曲だったのですが、上記どちらも所謂「オケのクラシック」の範疇の曲。どんどん「そういうの書く人ね」だけが一人歩きしてしまい、レッテル貼られそうで冷や汗しきり(^_^; いやいや一番書きたいのはジャズの香りにあふれている舘野泉さんに捧げた「スケッチ・オブ・ジャズ」のような音楽です。でも世間では巷で有名な曲のほうが評価されるというこのジレンマ。

 で、ピアノのほうは師匠が佐藤允彦さん。授業初日からピアノ2台で「即興乱取り稽古」これが私の根っこで、それが今のライブ活動、ハーモニカの続木力さんとのユニット「パリャーソ」、現代詩を歌うグループ「DiVa」につながっています(このツアーレポもお楽しみに)。だが、こちらでは「ピアニスト」の前に「ジャズ」をつけるかどうかいつもきかれる。ええやんか、そんなん! たしかに根っこはジャズだけど、自分がむさぼり聴いてきたありとあらゆる音楽ジャンルが入りまじっての現在だし、大体クラシックのピアニストには「クラシック」入れないのに、ジャズ系の人には「ジャズ」入れるのってなんか差別的だと思わへん?

 かように世間は「何者か どこの位置にいる奴か」ということを細かく定義したがるのですが、私には適用できないのさ。ふふふ。「なんでも屋」でけっこう。興味の趣くままこれからもエイエイオーッ!そしてこの『ほめちぎっちゃうぞっ!』をお読み頂ければだんだんそんな私の実体が明らかになってくると思われます。やばし(^_^;

 なんだか初回は自分をほめちぎっちゃったかのようにも見える自己紹介でしたが、一皮むけば、飲んべえでいつもふざけてるあほオヤジです。謙虚に続けます。礼m(_ _)m
 次回は敬愛する中山康樹さんの『ジャズ名盤を聴け!』を復刊のエールとともにほめちぎります![次回5月26日(月)更新予定]