
「遺伝」に関する記事一覧



行動遺伝子学から考える未婚・既婚での“女性の自由度”の差 環境で異なる遺伝の影響
1960年代にアメリカで行われた17歳のふたご900組弱を対象としたアルコールや薬物依存と問題行動と住む環境ついての研究では、女子に関してのみ、遺伝の影響については都会の方が大きく(都会44%、田舎2%)、共有環境は都会より田舎の方が大きい(都会9%、田舎62%)という傾向にあった。このような女性の住環境の自由度の違いに対して、結婚しているか、していないかの角度から見た研究がある。行動遺伝学者の安藤寿康氏の新著『教育は遺伝に勝てるか?』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して紹介し、行動遺伝学の視点からみた“女性の自由度”について紹介する。

都会と田舎、家庭の裕福さは社会における自由さに関係するのか? 行動遺伝学的視点で考える
親の収入が子どもの学力に与える影響は、残念ながら確実にある。金銭的に豊かなほど、お金を使う自由度があがり、勉強好きな子どもは知的活動にそれを費やし、そうでない子どもはそれ以外のところに費やす。多くの“環境”に触れた結果、“遺伝的素質”が十分に発揮される。一方経済的に恵まれていない家庭の子どもは、選べる環境にあまり自由度がない。すると親がどんな“環境”をつくったかが大きく影響を与える。限られた収入を子どもの教育に使うか、親が遊ぶために使うかで、子どもの成績も大きく違ってくるということだ。このように行動遺伝学者の安藤寿康氏は分析する。同氏の新著『教育は遺伝に勝てるか?』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して紹介し、行動遺伝学の視点からみた“社会における自由”を考える。





遺伝的素質を発揮できない子どもたち 経済的に恵まれない家庭にはサポートをの根拠とは
子育て本の多くは、親のふるまい方が子どもの性格や能力の原因であるかのように書かれているものが多い。行動遺伝学研究者・安藤寿康氏は、子どもの成長に大きな影響を与えるもう一つの要因、「遺伝」に着目。科学的知見に基づいて子育てを考える。安藤氏は、新著『教育は遺伝に勝てるか?』(朝日新書)の中で、子どもの学力への影響要因について調べた大規模な研究結果を紹介。読み聞かせを行うなどの親のはたらきかけは、一定の影響を及ぼすが、しかし遺伝的素因を乗り越えるほどではなかったと説いた。さらに、家庭の収入や社会階層といった社会経済的状況も子どもの学力に大きく影響を及ぼすことが明らかにされているが、そこにはひとつの誤解があった。その内容を、同著から一部を抜粋、再編集し、紹介する。




特集special feature

ジェットコースターと肝試し、怖がる“遺伝子”は別 科学の知見から覆す遺伝への先入観
同じ親から生まれたきょうだいにもかかわらず、全く似ていないことがある。それは生命の本質「ランダムネス(ランダムであること)」から生じるありきたりな現象だった。エンドウマメの交配実験をおこなったメンデルは、背丈やマメの色などの形質(生物学的な特徴)はそれぞれ別個に、そして組み合わせはランダムに遺伝するという「独立の法則」を発見した。行動遺伝学研究者・安藤寿康氏は、複数の遺伝子が基本的には「独立の法則」に従って受け継がれるため、実は平凡な親からノーベル賞学者が生まれる可能性もあると説く。安藤氏が上梓した『教育は遺伝に勝てるか?』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集し、紹介する。