20年たって改めて感じる、筒井康隆の凄さ
10代から20代にかけて、SFにはまっていた時期があります。 SFマガジンを最初に買ったのが、確か中学1年生の冬。新春の日本人作家特大号でした。 確か、この号に筒井康隆氏の『デマ』が掲載されていたと思います。 この作品には大いに衝撃を受けました。 あるデマが拡大していく過程を、小説ではなく、フローチャートの形で表現する。どんどん分岐して、あるものは消え、あるものは尾ひれがついて変質する。今だと当たり前の方法論かもしれませんが、こんなやり方の小説があるのかとびっくりした。 筒井さんの小説は、それまでにも何冊かは読んでいたはずです。 夢中になって見ていたNHK少年ドラマシリーズの『タイム・トラベラー』、その原作である『時をかける少女』は、もちろん読んでいました。その他にも確か『にぎやかな未来』というショートショート集を読んでいたと思います。 ただ、まだ筒井さんの本領発揮と言える作品には出会っていなかった。 最初が『デマ』だったわけです。 これでびっくりしていたところに早川書房がハヤカワJA文庫を創刊して、日本人SF作家の作品が文庫化されるようになった。『東海道戦争』や『ベトナム観光公社』など、氏の初期作品集を読んで、「世の中にこんなに面白い小説があったのか」と驚いた。そこからは、もう大ハマり。 まあ、同世代だと、当時、似たような体験をした人は多いと思うので、あまり偉そうに書くことでもないのですが。
9/27