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 その前日、NHK BS「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」で見た「“おネエ”たちは闘った~知られざる勇気の系譜~」で、カルーセル麻紀やピーコらおネエの先駆者たちの苦悩と覚悟に触れ、「最近“おネエ”タレント多過ぎやしないか」などと悪態をついてきたことを反省しつつ就寝。一夜明け、番組欄に“おネエ”の文字を見つけ、おネエに対する認識も新たにチャンネルを合わせたのだが……。

 番組では「女装家」「男性が恋愛対象の男」「整形 身も心も女」とおネエを3つのタイプに分類。「女装家」IKKOやミッツ・マングローブ、「男性」真島秀樹やおぐねー、「整形」KABA.ちゃん、佐藤かよ、IVAN。ご意見番的役割で大先輩ピーコも参加し、「初めて女装したのは?」「初めて男性を好きになったのは?」「自分を女性と思ったのはいつ?」などの質問に答える……そこまではまだよかった。

 ところが、MCのダウンタウン浜田が、「ちなみに、もう初体験は?」と、昨年、性転換手術をしたKABA.ちゃんに水を向けて、話がおかしな方向に。「年末に」とKABA.ちゃんが答えると、「イヤーーー」という観客の悲鳴&拍手。抱き合って喜ぶおネエたち。

 と、ここまでもまだよかったのだが、言わなきゃいいのにダウンタウン松本が、「ちなみに、教えてもらえるところまででええんですけど、(相手は)どういう人なんですか?」と追及したことで、KABA.ちゃんにスイッチが入り、その問いに答える寸前でCMに。こんなところでもったいつけてCMまたぎにしますかって感じ。しかもご丁寧に、“このあと、女性になったKABA.ちゃん。その初体験の相手があきらかに!”などと煽り、この日の目玉扱いだ。

 そしてCM明け。「大学生」と嬉しそうに話し始めたKABA.ちゃん。相手が大学院生で研究ばかりしてテレビを見ないので、自分のことは知らなかった、と語る。と、ここまででやめておけばいいのに、「いろんな体位させられて……」と耳を疑うような発言を。

 何が悲しくてKABA.ちゃんの初体験話を聞かされなくちゃいけないのか。念願叶って女性になり嬉しいのはわかるが、閨の話をペラペラ喋るなどもってのほか。そもそも、そんな浮かれたKABA.ちゃんに話を聞くほうが悪い。

 ドキュメンタリーとバラエティの違いはあるにせよ、同じ素材でこうなるかと落胆。魑魅魍魎、阿鼻叫喚、百鬼夜行……くわばらくわばら。二丁目化するテレビをどうしようか、ということで今月のダラクシー賞を贈る。

※『GALAC(ぎゃらく) 4月号』より

桧山珠美(ひやま・たまみ)/ドラマ「カルテット」を観て、昔、ヴァイオリンを習っていたことを思い出しました。どこかに松田龍平と高橋一生はおらんかえ~。