ブルシット・ジョブという言葉は、著者であるデヴィッド・グレーバーが、役立たないにもかかわらず、それを自覚して従事する仕事について名付けたものだ。

 本書ではブルーカラーの職業は世の中に対し貢献度は高いが、給料が低いなど冷遇される状況だと伝えている。いっぽう会議で図表やグラフを駆使しプレゼンするようなホワイトカラーの月給取りはブルシット・ジョブに該当するケースが多い。彼らは重要な仕事だと思わせるため、資料をつくりこんでいく。働く本人は無意味な仕事だと気づいていながらも、さも価値があると装っている。

 そうした職種を調査し、特に意味のない仕事を五つに分けて解説している。さらに実際に従事する人の生のコメントも紹介している。もしかしたら私たちもブルシット・ジョブに携わっているかもしれない。(新井文月)

週刊朝日  2020年12月4日号