NHK「ドキュメント72時間」でも紹介された著者がインタビューに答えた本。一人では入りづらい場所へ同行してほしい、サボるので見張っていてなどツイッターで来た依頼に応じ、その内容を投稿してきた。フォロワーは約20万人。なかには離婚届の提出に付き添うというものも。

 30代で妻子があり、出版社勤務を経てフリーライターになった。依頼人から交通費だけはもらうが、ほかに対価を求めない活動について「ボランティア?」と聞かれると、「仕事」だと答える。だが、簡単な受け答えをする以外「なんもしない」。傍にいる以上でも以下でもないことを基本にしつつも、線引きは実に曖昧だ。

 依頼の多様さに驚くとともに「労働」の意味を問う契機にも。女性からの危険な匂いのする依頼は妻に相談するあたりも面白い。(朝山 実)

週刊朝日  2019年7月26日号