ホイチョイ・プロダクションズの『見栄講座』(1983年)を覚えているあなたはバブル期に青春を送った方だろう。あの頃はみんなパワーがあったよね。金曜の夜から寝ないでスキー場に行ったりしてました、私も。

『ホイチョイのリア充王』はそのホイチョイが35年ぶりに放つSNS時代の見栄講座だ。城に引きこもっている王さまにランプの精が最新のアウトドア・スポーツ事情を語るという体裁で、登場するのはスキー、サーフィン、ゴルフ、テニスなど全部で15種。

 いやー、しかし驚きましたね。<この国の国民のすべての活動の目的は、その場の楽しさや盛り上がりではなく、SNSに写真を上げて「いいね!」を貰うことになったのです>という変化にも苦笑するけど、目を見張るのはスポーツ人口の減少だ。94年と2016年を比べると、スキー人口は1860万人から330万人に(82%減)、サーフィン人口は140万人から30万人に(79%減)、ゴルフ人口は1440万人から550万人に(62%減)。ウィンドサーフィンに至っては80年代後半から60分の1に激減している。

 昨今の若者は外に出ない。お金もないし、オンライン・ゲームもネット通販も無料配信動画もあるから外で遊んだりしないのだ。

 結果、<今どきのサーフィン界は高齢化が著しく、湘南で波待ちしていると、周りは老人ばかり>だし、<今日のゴルフを支えているのは、団塊の世代と、子育てが一段落した元「オヤジギャル」>。若者は上下関係が嫌いだしバイクを買う金もないので暴走族も減少し、<この国でオートバイに乗っているのは、本当にバイクが好きな40代以上の大人だけ>。

 しかし、じゃあ各業界はさびれているかというと、道具が便利になり、料金は安くなり、参加者が減ったせいでフィールドはガラガラ。どれもいい感じの大人の趣味になっているのだそうである。

 そっかあ。じゃあもう一回ゲレンデに出てみるかとも思ったが、問題は体力よね。それに比べてホイチョイは枯れていない。偉い!

週刊朝日  2018年11月2日号