若手歌人ふたりによる共著歌集。ある男子高校生ふたりの7月1日からの1週間が短歌によって描かれるが、日を追うごとに不穏さが増し、日常がゆらぐ。

 一体、7日目に何があったのか。これは短歌によるミステリーの試みである。

 スピンオフとして書かれた舞城王太郎の二つの掌編は女子高生の視点から描かれており、言葉にできない/しないけれど、無視することもできない感情をたくみに切り取っている。それはまさに著者のふたりが短歌にすくいあげてきたことで、小説と短歌が見事に共鳴していると言えるだろう。

 本書は発売3週目で重版が、6週目には3刷が決まった。タイトルとなった短歌《玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ》のごとく誕生したこの歌集の今後が楽しみだ。

週刊朝日  2018年3月9日号