「イクメン」はブームに終わったに違いない。著者の主張に思わずうなずいてしまう。正論や理想をおおっぴらに宣伝して、父親の「家庭進出」を促してきたのだろうが、「理想のイクメン像」が独り歩きし、そもそもブームの高め方が短絡的だったのではないか、と著者は問いかける。
「ワーク・ライフ・バランス」と言うが、収入を落としても生活できるような高所得の人でもない限り、多くの人は膨大な仕事を24時間のうちに押し込めることに精いっぱいだ。夫婦の愛情が急激に冷めて対立する「産後クライシス」、家事にいそしむ夫に妻がダメ出しして夫の意欲をそぐ「家事ハラ」──。会社や家庭との板挟みに葛藤し、「一人ブラック企業」に陥る父親の現状を解決する八つのヒントは、妻も人事担当者も読んでおきたい内容だ。

週刊朝日 2016年7月22日号