脳の中の時間旅行

話題の新刊

2014/05/29 19:08

 同じ1時間でも、遊んでいるときはあっという間、ところが病気で寝込んでいるとおそろしく長い。脳が感じる時間がこんなに伸び縮みするのはなぜだろう。謎に満ちた時間知覚の最新研究をわかりやすく紹介している。
 脳内の時間を歪めるのは恐怖や退屈といった感情、うつ病など心の病。もう一つの原因が記憶だ。通常、一定の時間枠には一定量の記憶が入っているが、思春期や旅行時など、新しい経験が多い時期の記憶は膨大になる。あとで思い起こす時、過剰な記憶量に合わせて時間が引き伸ばされるのだという。なるほど、年を取ると時間が速くなる理由がこれか。
 面白いことに時間を空間的に、つまり形でとらえる人々がいる。ドミノ牌の列、円、触手のついた楕円。時間を形に描く能力が、実は脳の中で過去や未来に行き来することを助けているのだが、未来を具体的に想像できる人ほど目標を実現し、前向きな人生を送る傾向がある。そして未来を想像することは、過去の記憶を使うことで初めてできるという。時間と空間、記憶の境界はあいまいで、互いに混じりあうものらしい。驚愕。

週刊朝日 2014年6月6日号

脳の中の時間旅行 : なぜ時間はワープするのか

クラウディア・ハモンド著/渡会圭子訳

amazon
脳の中の時間旅行 : なぜ時間はワープするのか

あわせて読みたい

  • どんなに科学が発達しても「タイムマシン」を絶対に作れない理由 <子どもの素朴な疑問に学者が本気で答えます>
    筆者の顔写真

    石川幹人

    どんなに科学が発達しても「タイムマシン」を絶対に作れない理由 <子どもの素朴な疑問に学者が本気で答えます>

    dot.

    4/11

    地方創生のカギも? 恩田陸のミステリー小説『スキマワラシ』

    地方創生のカギも? 恩田陸のミステリー小説『スキマワラシ』

    週刊朝日

    10/25

  • ポストトゥルース時代の小説家のデビュー作 新しい純文学の形

    ポストトゥルース時代の小説家のデビュー作 新しい純文学の形

    BOOKSTAND

    2/7

    性犯罪を捜査、皮膚病も診断・・海外のアプリはこんなに進化

    性犯罪を捜査、皮膚病も診断・・海外のアプリはこんなに進化

    AERA

    9/17

  • 大黒摩季が全国14都市でのライブ・ツアー開催を発表、3000字超の本人コメントも到着

    大黒摩季が全国14都市でのライブ・ツアー開催を発表、3000字超の本人コメントも到着

    Billboard JAPAN

    9/3

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

コメント

カテゴリから探す