書評『脳の中の時間旅行』クラウディア・ハモンド著/渡会圭子訳 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

脳の中の時間旅行 クラウディア・ハモンド著/渡会圭子訳

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谷本束書評#話題の新刊

脳の中の時間旅行 : なぜ時間はワープするのか

クラウディア・ハモンド著/渡会圭子訳

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 同じ1時間でも、遊んでいるときはあっという間、ところが病気で寝込んでいるとおそろしく長い。脳が感じる時間がこんなに伸び縮みするのはなぜだろう。謎に満ちた時間知覚の最新研究をわかりやすく紹介している。
 脳内の時間を歪めるのは恐怖や退屈といった感情、うつ病など心の病。もう一つの原因が記憶だ。通常、一定の時間枠には一定量の記憶が入っているが、思春期や旅行時など、新しい経験が多い時期の記憶は膨大になる。あとで思い起こす時、過剰な記憶量に合わせて時間が引き伸ばされるのだという。なるほど、年を取ると時間が速くなる理由がこれか。
 面白いことに時間を空間的に、つまり形でとらえる人々がいる。ドミノ牌の列、円、触手のついた楕円。時間を形に描く能力が、実は脳の中で過去や未来に行き来することを助けているのだが、未来を具体的に想像できる人ほど目標を実現し、前向きな人生を送る傾向がある。そして未来を想像することは、過去の記憶を使うことで初めてできるという。時間と空間、記憶の境界はあいまいで、互いに混じりあうものらしい。驚愕。

週刊朝日 2014年6月6日号


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