書評『できる大人のモノの言い方大全』話題の達人倶楽部編 |AERA dot. (アエラドット)

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《ベストセラー解読 (週刊朝日)》

できる大人のモノの言い方大全 話題の達人倶楽部編

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永江朗#ベストセラー解読

おべんちゃらが言えてこそ大人!

 書店の店頭に煉瓦のような弁当箱のような分厚い本が積まれている。『できる大人のモノの言い方大全』だ。
 内容は社交辞令はじめ大人同士の会話における言葉づかいノウハウ集である。たとえば「相手の自慢話に効くあいづち」は、「よかったですね」「それは何よりです」「うらやましいですねえ」「それは、それは」「さすがですねえ」「素晴らしい!」「すごいですねえ」「それはようございましたね」。
 自慢話をされても、にこやかにこれらの言葉がすらすら出てくるようになれば、立派な大人だ。ぼくは若いころからこういうのが得意で、「よく心にもないお世辞をぺらぺら言えるものだね」と先輩に褒められたことがある。今も、女性に会えば「あいかわらずおきれいで」「お若くなりましたね」、男性なら「活躍されているという噂、しょっちゅう耳に入ってきますよ」を欠かさない。そういや先輩に「君は口先だけで世の中を渡っていけると思っているだろう」と言われたことがある。その通り!
 伝わりにくい真心なんかよりもおべんちゃら。これが半世紀以上生きてきての実感である。ぜひともこの本を座右に置き、世渡り上手になるための言葉磨きに役立てたい。
 本書の魅力はなんてったって厚さと安さである。「3センチ超でこの値段!」的な広告には驚いた。大昔の円本ブームも、コストパフォーマンスが売りだったから、出版界の伝統といえなくもない。
 安い秘密は、本書のなりたちにある。『できる大人のモノの言い方』『知ってるだけで一生使えるモノの言い方』『できる大人のモノの言い方「ほめ言葉」の秘密』を改題・再編集したのがこの本だからだ。つまりコンテンツのリサイクル本である。
 総ページ数は384ページだが、いわゆる嵩高紙を使って厚くしている。以前、製紙工場で取材したのだが、洗濯で使う柔軟剤に似た成分を紙に混ぜると嵩高紙になるのだそうだ。

週刊朝日 2013年3月15日号


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