書評『わが友の旅立ちの日に』安野光雅著 |AERA dot. (アエラドット)

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《話題の新刊 (週刊朝日)》

わが友の旅立ちの日に 安野光雅著

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山本朋史#話題の新刊

 86歳で今年度の文化功労者に選ばれた画家の安野光雅さんの最新刊。安野さんは終戦後は学校の代用教員などもしたが、教え方も独特だった。いたずら心も人一倍あって、理科の時間に生徒に大根おろしを山ほど作らせて竃(かまど)で煮て水飴を作ろうとして大失敗したこともある。学校を辞めて画家として独立しても安野流の挑戦は続いた。疑問は放ってはおけずに、本で調べたり知人に自分なりに理解するまで聞いた。
 画家なのに本誌連載でもわかるように数学者や音楽家など多方面に数多くの知人がいるのである。安野さんは読書家で、文語文の世界が好きで、昔読んだ本のことを驚くほどよく覚えている。
 この本はずっと昔に「暮しの手帖」に連載したエッセイに、新しいニュースや友だちの新しい旅立ちや恋愛のこと、科学のことなどを入れている。国際アンデルセン賞をはじめ、たくさんの賞を受けているのに偉ぶらず、子ども心で編集者を冗談で笑わせる。安野マジックで次々に新しいアイデアが浮かんでくる。次の大作が楽しみだ。

週刊朝日 2012年11月16日号


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