写真はイメージです(Getty Images)
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入学シーズン真っ盛り。幼稚園や小学校の子をもつ親には、子どもに持たせる袋物などの準備に追われた人も多いだろう。学校による指定が細かいと既製品では代用できず、私立の小学校では「手作り」を指定するところも。「仕事や育児で忙しい」「裁縫ができない」といった親の“駆け込み寺”になっている都内の専門店に、私立小学校の「手作り事情」について聞いた。

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「ふだんミシンを触らない、針も持たないというお母さまたちが、毎年たくさん相談しに来られます。働いているお母さまも多いですから、3月を過ぎてぎりぎりの時期に慌てて駆け込んでくる方もいらっしゃいます。安心して新生活をスタートできるよう、なんとかお手伝いできればという思いです」

 そう話すのは、東京・目白本店ほか2店舗を構える「マムエモア」の代表取締役、郷司泰子さん。開店来30年、私立・国立の幼稚園や小学校のお受験アイテムを取りそろえるほか、主に私学の入学準備品や学用品を扱っている。例年、準備品だけでも数百件のオーダーを受ける人気店だ。

ランドセルの代わりになる通学用のバッグも手作り指定。リュック、ショルダー、手提げと使い勝手のよい3WAY仕様で、人気の「花かご」刺繍のあしらい(マムエモア写真提供)
ランドセルの代わりになる通学用のバッグも手作り指定。リュック、ショルダー、手提げと使い勝手のよい3WAY仕様で、人気の「花かご」刺繍のあしらい(マムエモア写真提供)

「とくに私立は、“手作り”を求めることが多いようです。それぞれの学校の指定は昔からほとんど変わりません。入学説明会から入学式までに1カ月ほどしかない場合もあり、凝った作りですと準備が間に合わないことも。早めに、学校ごとにどういったものが必要かをお伝えし、オーダーを受けるようにしています」

 指定は、学校ごとにさまざま。体育袋、給食袋、音楽袋、図工袋といった袋物に加え、はさみケース、聖書カバー、辞書バッグ、紙ばさみといった細々したものまで準備が必要になることも。さらに、「ランドセルの代わりになる通学用バッグやスモックのような大物は、それなりの裁縫の技術が要りますので、ご自分で作るとなるとなかなか難しいかと思います。この店を紹介してくださる学校さんもあるようです」。

 持ち物には、手刺繍を入れることが一般的という。

「手作りの良さは、お子さんの好みを取り入れられること。お気に入りの飾りがあれば、自分の持ち物という目印になるだけでなく、嬉しくて大切に使うのではと思います」

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