写真家・王華 ピンホールカメラで表現した現代社会へのアンチテーゼ (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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写真家・王華 ピンホールカメラで表現した現代社会へのアンチテーゼ

撮影:王華

撮影:王華

 写真家・王華さんの作品展「Box of Dreams」が3月4日から東京・丸の内のエプサイトギャラリーで開催される。王さんに聞いた。

【写真】王華さんが撮ったピンホールカメラの世界

 王さんは、タイトル「Box of Dreams」の意味をこう説明する。

「『Box』というのはカメラのことで、私はそれを使って景色などを撮る、収集する。それは夢のようなもので、写真を見たみなさんがそういう感覚を抱いていただければいいなと思って、このタイトルにしました」

 撮影に使ったのは「ピンホールカメラ」。見かけは木箱、といった感じで、箱の正面、中央には針先で開けたような、とても小さな穴がある。このピンホールから差し込んだ光が、外の風景をぼんやりと箱の中に映し出す。そこにフィルムを置き、撮影する、とてもシンプルなつくりのカメラだ。

 このぼんやりと写った写真は王さんの記憶を表現したものという。

「人間の記憶というのは、『こうだったかもしれない』とか、はっきりとは思い出せないものだと思うんです」

 はっきりと写った写真は情報量が多い半面、それ見る人から想像する機会を多少なりとも奪ってしまう。

「この写真を見た、それぞれの人の思いを引き起こせたらいいな、と思っています」

 私たちは日々大量の情報を目にし、耳にするものの、「振り返ってみると、何も得ていないのではないか」と、王さん言う。押し寄せる情報を咀嚼することも、考えることもなく、単に目や耳を素通りしているだけではないかと。

「いまはそういう時代になっていると思うんです。それを反省したいことを含めて、この作品をつくりました」
撮影:王華

撮影:王華

「写真を撮るために行く」と、その気持ちが写真に反映してしまう

 撮影した場所は、「本当にバラバラ」で、タイや台湾、中国など、外国の風景もあれば、箱根や伊豆、瀬戸内といった国内の風景もある。

 それは王さんが旅先で出会った「美しい風景」「いいと思った景色」。しかし、撮影のために旅することはないという。

 理由をたずねると、「『写真を撮るために行く』というのは目的性が強すぎて、その気持ちが写真に反映してしまいますから」。大事なのは風景との出合いであり、その気持ちを感じたときにカメラを取り出すことが大切だと説明する。

 以前、試しに、「写真を撮る」目的で植物園を訪れたことがあった。

 ところが、「あまりいい写真が撮れなかったんです。やはり、そういう意図的な考えが写真に写ってしまう。私の感覚で、いいなと思ったところから撮り始めたほうがいい写真ができる」。

 そのため、「旅にカメラは持っていくんですけれど、私が表現したいと思う景色に出合わなかったら、撮りません」。

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