TOKIOの松岡昌宏も大絶賛 おばあちゃんの「サッポロ一番」に魅せられた、ミシュラン獲得後も進化する荒川区の醤油ラーメン
連載「ラーメン名店クロニクル」

トイ・ボックスの「醤油ラーメン」は一杯800円(筆者撮影)
2007年にオープンした「町田汁場 しおらーめん進化」の店主は元ギタリストの関口信太郎さん(38)。店名の通り、塩ラーメンを看板に掲げるお店で、「TRYラーメン大賞」の塩部門でも1位に選ばれたことのある名店だ。関口さんは食べ歩きをしていた頃から塩ラーメンに魅せられ、徹底的に塩にこだわってきた職人だ。
【写真】進化の店長はロックバンドの元ギタリスト!(全7枚)
高校時代からロックバンドでギターを弾いていた関口さん。音楽で食べていきたいとライブ活動に明け暮れていたが、22歳の頃にバンドが解散。アルバイトで続けていたラーメンの道に入ることになる。

「進化」店主の関口信太郎さん。店の住所は東京都町田市森野3-18-17 ウイング森野 1F/営業時間は平日・土曜は11:00~15:00、18:00~21:00。日曜・祝日は11:00~17:00(売り切れ次第終了)/無休(筆者撮影)
大好きな塩ラーメンでいつか独立したいという思いで、駒沢「せたが屋」の門を叩く。3年で独立するという前提で店主・前島司さんのもとで修業を始め、新ブランドや新店の立ち上げといった大役に次々と抜擢。店のエースとして成長していった。前島さんは当時の関口さんのことをこう語る。
「ラーメンに対して貪欲で、好奇心が強く、試作を繰り返しながらセンスを磨いていく。もともとクリエイター肌なんでしょうね。好きなことをとことん突き詰めて、成功する人だと思います」
3年間の修業を経て、07年に26歳で独立。塩ラーメン専門のお店として進化をオープンする。場所は高校の頃から住んでいた町田。すでに「胡心房」「69’N’ROLL ONE」「一番いちばん」などの名店はあったが、ラーメンの街としてさらに盛り上げたいという思いがあった。

町田・進化の「塩ラーメン」。店主の関口さんはソルトコーディネーターの資格も持つ(筆者撮影)
東京でラーメンというと、どうしても醤油ラーメンが優勢だ。醤油の歴史が長く、何より“塩だけ”で成功しているお店は少ない。味のはっきりした醤油や味噌と違い、単体だとしょっぱいだけで味を引っ張ることができない。ダシのブレも出やすくなるため、味を安定させていくのも至難の業と言われている。塩ラーメンを作るのは、そのくらい難しい。それでも、関口さんはとにかく塩を追求する。ラーメンを飛び越え、料理業界に塩の魅力を伝えたいとソルトコーディネーターの資格も取得した。
なぜここまで塩にハマれるのか。
「同じことをやり続けるのは飽きてしまいます。突き詰めることでラーメン作りが楽しめる。流れ作業になった瞬間に成長が止まってしまうと思うんです」(関口さん)
醤油に比べて軽視されがちな塩を広めることで、ラーメン業界全体で味の底上げができると考えている。
塩ラーメン専門の「進化」だが、実は一つだけ醤油のメニューがある。「白醤油らーめん」(850円)だ。

おすすめの記事
あわせて読みたい