さらに政府内では、児童手当を拡充する代わりに、16~18歳の「扶養控除」の廃止を議論していると報じられている。

 北村さんが試算したところ、年収や課税所得によっては、扶養控除の廃止に伴う所得税や住民税の増税額が、児童手当の支給増分を上回る家庭も出てくるという。

 児童手当の拡充は、子育て世帯にとって助けになるのは確かだ。政府も若い世代が急減する30年までが少子化傾向を反転するための「ラストチャンス」と位置づけている。対策に本気で取り組むなら、国民にとっていいことばかりではなく、不利になるようなことも丁寧に説明してほしい。

(AERA dot.編集部・池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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