来日後は親日家の面を至る所で発揮、チームに溶け込むのも早かった。移動には電車を使い、自ら神奈川県内の野球専門店で和牛JBグラブを購入して使用していることなどが話題となった。

「2009年の日米大学野球で来日してから日本が大好きらしい。自身のYouTubeチャンネルを見てもわかるが、日本文化に興味津々で多くのことを吸収しようとしている。日本に馴染むことで野球にも好影響が及ぶはず。ビジネス面を度外視すれば日本で骨を埋める可能性もある」(DeNA担当記者)

 バウアーの今後に関しては多くの噂が飛び交い、MLB復帰を見据えてのDeNA入団という声も少なくない。しかしグラウンド内外で日本生活を心底エンジョイしている様子を見ると、契約延長の可能性もゼロとは言えないようにも感じるが……。

「日本のことは好きだろうが、野球選手としてのビジネスは別問題。DV疑惑という問題を抱えてはいるが、投手として一級品なのは明白。状況が整いMLB復帰に障壁がなくなれば、獲得に動く球団は複数あるはずで桁違いの契約を結べる」(スポーツマネージメント会社関係者)

「DVは重く受け取られる問題だが、米国はセカンドチャンスを与える国でもある。MLB復帰には時間が必要だろうが、獲得に向けて前向きな球団もあるという。以前に近い投球ができるなら、時期がくれば米国復帰が濃厚でしょう」(在米スポーツライター)

 今季の1年契約が終了した時点で再びFAとなるため、来季以降は現時点では不透明だ。いずれにせよ、バウアーはコンディションを保ち「投げられる」状態を維持することが大事になるが、来日後ここまでは「らしさ」全開とは行かず、今後の活躍を不安視する声も出始めてはいる。

「昨年1年間は実戦で全く投げていない。多くの球種を織り交ぜた投球術を大事にするタイプなので、感覚が戻るまでは仕方がない。NPBという初舞台への適応も必要。アジャストのうまさも持ち味だけに、あと何回か投げれば結果に結びつく投球ができるでしょう」(MLBアジア地区担当スカウト)

 サイ・ヤング賞投手の肩書き、DV疑惑の過去など注目を集める要素が揃っている。普通の投手なら「調整段階なら合格点」と言われる投球内容でも厳しい判断をされてしまうのは仕方がない。

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今オフには日米で争奪戦?