村上に実に18試合ぶりのホームランが飛び出すのは、5月4日の巨人戦(東京ドーム)。翌5月5日のDeNA戦(神宮)では、WBCで共に戦った左腕の今永昇太から同点2ランを放つ。甘く入ったストレートをレフトスタンド中段に放り込む“らしい”一発だった。

「少し打席の中で駆け引きというか、そういうのができるようになってきたのかなと。何でもかんでも振りに、何でもかんでもストライクでも見逃してしまってというような打席が少なくなってきた。ストライクを見逃しても何となく余裕があるように見えるし、仕掛けたスイングは強く見えるし、少し(状態が)上がってきているのかなって感じがします」

 そのDeNA戦後、村上について語ったのはヤクルトの高津臣吾監督である。指揮官の言葉を裏付けるように、村上は翌日からの4試合で5安打をマーク。うちライト方向に飛んだのは1本だけで、4本はセンターから左へのものだった。

「一番はたぶん、タイミングだと思います。しっかり自分の間合いでボールが見えたり、スイングをかけられるかっていうところだと思うので、そこに関しては確率がかなり上がってきているなと思います」

“らしさ”を見せ始めた村上について、ヤクルトの大松尚逸打撃コーチはそう話している。さらに、逆方向への打球が増えているのは自分のタイミングで打てていることの証であることは「間違いない」とうなずいた。

「しっかりアジャストしてるし、良くなっていると思うよ。誰でも打てない時はあるし、それも野球の一部。ムラカミは毎日、本当によく練習をしてるし、その結果しっかりアジャストしてきた。やっぱり彼がこのチームではナンバーワンだよ」

 今季はおもに五番、六番を打つホセ・オスナが話した矢先、村上は冒頭の中日戦で今シーズン初の2ホーマー。この試合では今季初の“猛打賞”も記録し、お立ち台で「3月、4月は本当にチームに迷惑ばかりかけてましたし、まだまだこれからもっともっと調子が上がっていく一方だと思います。もっともっと頑張ります」と満員のファンに誓った。

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「僕には野球のストレスしかない」