※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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時代は令和になり、かつて見たような背の低く、背中の曲がったおじいさんやおばあさんはめっきりいなくなりました。70代以上の高齢者でも体はがっしりとした人が多く、脳も若々しいままだといいます。今の高齢者はなぜ健康で知的になれたのでしょうか。精神科医として30年以上高齢者医療の現場に携わる和田秀樹さんに解説してもらいました。(朝日新書『70代から「いいこと」ばかり起きる人』から一部抜粋、再編集しています)

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■これまでの常識をくつがえす「ニューセブンティ」

 これまでの常識をくつがえす新しい動きが生まれています。

 そのひとつが、新しい高齢化社会づくりを目指す「未来ビジョン研究所」が提唱する、「ニューセブンティ」(新しい70代)というスローガンです。

 同研究所の所長で、元博報堂の阪本節郎さんは、「ニューセブンティ」について次のように語っています。「これまで70代といえば、老人、おじいさん・おばあさん、お年寄りが常識で、消費市場からも退場した人たちでした。ところが最近は、当研究所の調査から、そうした社会常識とはまったく異なる現在の70代が見えてきました」

 阪本所長のこの発見は、本書の問題意識ともぴたりと重なります。ここでは調査結果から、一部をご紹介しましょう。

〇「いまの自分は健康だ」と思う70代は68.2%

 70代に入ると病気がちになり、筋肉も脳の働きも衰えていく。そんなイメージを持っている人も多いでしょう。しかし実際には、約7割の人が「自分は健康だ」と考えています。

 年代別に見れば、40代が70.2%とやや高めですが、70代とたいして変わらないことがわかります。

 男女別では、男性66.6%に対し、女性70.7%。女性のほうが、やや高いという結果となりました。

〇「何歳になっても若々しい見た目の大人でありたい」と思う70代は80・7%

 こちらは見た目についての質問です。

 若い人のほうが、ファッション、メイク、美容、健康などに対する意識が高いと思われがちですが、じつは年をとった人のほうが高い意識を持っていることが、この結果から見えてきます。

 同じように、「何歳になっても若々しく、前向きな意識を保ち続ける大人でありたい」という、メンタル面の若さに関する質問でも、70代がほかの世代を圧倒し、1位となっています。

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今の70代はかつての70代より若々しい