同じくJ発足「オリジナル10」の一員である千葉もJ2暮らしが長く、今季で14年連続となる。なんといってもオシム監督時代の「人もボールも動くサッカー」が思い出されるが、2009年にJ1最下位となってクラブ初のJ2降格となって以降、J1参入プレーオフに計4度(2012~14年、17年)進んだが、1度もJ1復帰を果たせず。2020年からユン・ジョンファン監督の下で「再生」を図ったが、14位、8位、10位と結果が出ず、昨季までヘッドコーチを務めていた小林慶行氏を新監督に据えて新シーズンに臨んでいる。

 戦力を見ると、田口泰士、見木友哉、新井一耀と軸となる選手を含めて主力の多くが残留。櫻川ソロモンをレンタルで放出した代わりにJ1でも実績のある呉屋大翔を獲得し、得点力不足解消への解決策を提示した。しかし、開幕戦で長崎相手に1対0の白星スタートを切ったのも束の間、第2節から山形(●1-3)、群馬(△2-2)、秋田(●0-1)、大分(●1-2)と攻守に精彩を欠いた苦しい戦いが続き、5試合を終えた時点で22チーム中19位(1勝1分3敗)。自分たちが主体となったアグレッシブなスタイルを標榜しているが、まだまだ時間がかかりそうだ。J1復帰を果たすためには、長いシーズンの中で「内容が悪くても勝つ」ことが必要であり、序盤戦でどれだけ我慢しながら勝ち点を拾っていけるか。最低でも4月中には建て直したい。

 その千葉よりも近年、J2でも下位に低迷しているのが、大宮だ。1999年のJ2誕生初年度にJリーグに参入し、2005年からJ1で10年間、しぶとい戦いぶりで「残留力」を発揮し続けた。1度目のJ2降格の際は1年で即J1復帰を果たしたが、2度目に降格した2018年以降はJ2暮らしが続いて今季が6年目。気がかりなのが右肩下がりの順位で、2019年の3位から2020年15位、2021年16位、2022年19位と年々成績が下降している。昨季は一時J2最下位に沈むなど、クラブ史上最低といえるシーズンとなった。

 状況を変えたい今季も戦前の期待値は高くなかった。昨季途中から指揮を執った相馬直樹監督の就任後の成績(6勝8分10敗)や明確な戦力アップを示せなかったオフの補強が理由で、その不安通りに開幕戦は山口相手に0対1の黒星スタート。だが、その後は金沢(○2-0)、本(●0-3)、磐田(○1-0)、栃木(●1-2)と安定感を欠きながらもホームではしっかりと勝利し、開幕5試合を2勝3敗で乗り切った。目立つのは、柏から加わったFWアンジェロッティ。24歳、左利きのブラジル人ストライカーは、2トップの一角として前線で起点になりながらピッチを幅広く動き回り、磐田戦で決勝のヘッド弾を決めると、続く栃木戦では左足ボレー弾。身長185センチと大柄ながら柔らかいボールタッチを披露し、チャンスメークからフィニッシュまで、あらゆる場面で“違い”を見せつつある。この男を新エースに据えて“勝てる形”が固まれば、連勝が可能となり、昇格争いにも加われるはずだ。

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「元J1クラブ」の昇格はあるか?