その他の主な「元J1クラブ」を見ると、2年ぶりのJ1復帰を目指す大分が開幕5試合を4勝1分0敗の好発進を決め、同じく今季こそJ1復帰を果たしたい仙台、さらに昨年の天皇杯で優勝した甲府が、ともに2勝2分1敗とまずまずのスタートを切った。その一方で今季、2016年以来となるJ2の戦いに挑む「本命」清水は5試合連続ドロー発進となり、同じくJ1からの降格組の磐田も1勝2分2敗と開幕から苦しんでいる。そして彼らを横目に首位に立ったのは、青森山田高校の総監督から異例のJクラブ指揮官となった黒田剛監督率いるJ1未経験の町田(4勝1分0敗、得失点差で大分を上回る)。さらに3位には、J3からJ2に昇格して3年目となる秋田(3勝2分0敗)がつけている。

 まだ序盤戦で、今後しばらくは毎節のように順位が大きく変わることになるだろうが、不変なのはJ2での戦いが「簡単ではない」こと。そして、「沼にハマるとなかなか抜け出せない」ということ。実力が拮抗する中で相手の良さを消しにくるチームが多く、日程も過密で移動にも時間を要する。なにより、活躍した選手がJ1クラブに引き抜かれることでチーム力の積み上げが難しく、J2に長く停滞すればするほどチーム力が徐々に低下していく傾向にある点が「沼にハマる」大きな理由だろう。そこから抜け出すには相当な力がいる。まずは序盤戦で勢いを掴み、チームが目標に向けて一丸になること。混戦必至の中で、J1で実績のあるクラブには自分たちのプライドを取り戻す戦いをサポーターに見せてもらいたい。(文・三和直樹)