学区変更により、新しい学校に移る子どもも少なくなかった。24年に小学校ができれば、そちらに転校しなければならない子どもが出る。

 同じ問題は南流山駅周辺でも起きており、新しい小学校をつくらねばならないため、既存の中学が2キロ以上も離れた場所に移転する。移転先の中学に徒歩30分以上かかる距離から通わねばならない生徒が出るほか、車の通行量が多く通学に適した環境とはいえないことから、住民からは憤る声が出ている。

「遠くに移転しすぎですよ。子育て世代を積極的に呼び込んでいるのに、学校の用地のめどもつけていなかったとは……」(小学生の子を持つ40代主婦)

 小田桐市議も「新しい学校ができたからそっちに移りましょうねって。教育面や子どもが育つ環境として、良いことではありません。若い世代の人口が増えた、子どもが増えたという『勢い』ばかりが良いこととして報じられていますが、子どもや親が振り回される事態にもなったのです」と指摘する。

 流山市の学校教育課に話を聞くと、「保護者やお子様へのご負担は懸念しながら対応しております。今の学校に通わせ続けたい、移りたくないと希望される保護者もいらっしゃいますが、ご批判だけということではなく、きれいな学校に移れてよかったという声もあり、さまざまなご意見をいただいております」と説明する。

 同課によると、不動産会社の中には学区や新しい学校ができることについて古い情報を説明してしまったところがあり、引っ越してきてから事実を知ったケースがあったという。「学区については、市に直接お問い合わせしていただきたいと考えています」と担当者は口にする。

 ちなみに、新設の「おおぐろの森小」の校歌は、人気歌手の一青窈さんが作詞をしたが、

「一青窈さんは何も悪くありませんが、流山にゆかりのない有名人を起用する意図が分からない。新しい学校にばかりお金をかけて、古い学校を放っておくのは『格差』でしかないと思う」と、市内の古い小学校に子どもが通う40代主婦は憤る。

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市内の「地域間格差」も深刻