ほっとラインに「通院先を変えたい」という相談が寄せられたときの回答は、ケース・バイ・ケースだ。「今の先生と話し合いましょう」とアドバイスすることもあれば、医療機関を紹介することもある。住まいや病状などを聞き取り、それぞれに合う医療機関を紹介しているという。

「現在、ほっとラインでは、紹介先として全国で400件ほどの医療機関をリストアップしています(公開の許可が得られたところは摂食障害「相談ほっとライン」のHPにも掲載)。残念ながら私たちも各地域の医療機関の実情を十分把握することはできていませんが、そのような状況の中でも、適切な医療につながるための相談窓口があることは、患者さんの救いになると考えています」(同)

■家族の理解や協力が、治療の糸口に

 患者と医療間の齟齬(そご)は、患者・家族の理解不足が原因になっていることも少なくない。

 拒食症で体重が激減した大学3年生の娘(21)を持つ母親は、「通院を始めたのに体重がほとんど増えない。担当医を変えてもらったほうがいいだろうか」とほっとラインに電話をかけてきた。コーディネーターがじっくり話を聞いてみると、治療が始まってまだ3週間。少しずつだが体重は増えているという。

「治療が始まったらすぐにぐんぐん体重が増えると思っている人が多いですが、特に『心』の部分は特効薬があるわけではなく、対話を中心とした心理療法などで時間をかけて治していきます。早く回復してほしいと願うご家族の気持ちもわかりますが、回復に時間がかかるむずかしい病気だということを理解しておく必要があります」

 さらに河合医師はこう続ける。

「ほっとラインは未受診患者を早期に医療につなぐことを目的にスタートしました。しかし、つなぐだけではなく、その後の治療をスムーズに進めるためのサポートも重要だと痛感しています」

(文・谷わこ)

この記事も読む≫≫中3娘の母「ガリガリにやせているのにもっとやせたいと言って食べない」 拒食の相談の大半は母親から