昨年ようやく復帰し、一軍での登板は1試合に終わったものの、二軍では16試合に登板して6勝2敗、防御率2.89という成績を残している。シーズン後のフェニックスリーグであえてリリーフを経験したことでこのキャンプではスピードがかなり戻ってきており、2月26日の西武とのプレシーズンマッチでは4回を投げて9奪三振をマークするなど順調な調整ぶりを見せている。チームには佐々木朗希もいるが、順調にいけば近い将来にメジャー挑戦というのが既定路線と見られており、そういう意味でも種市にかかる期待は大きい。今シーズン、佐々木と種市が先発ローテーションでフル回転するようなことになれば、他球団にとっても脅威の存在となることは間違いないだろう。

 移籍をきっかけにブレイクに期待したいのが田中正義(日本ハム)だ。2016年のドラフトでは5球団が競合する目玉投手だったものの、度重なる故障でソフトバンクでの6年間では1勝もあげることができず、昨年オフに近藤健介の人的補償で日本ハムに移籍することとなった。ただ昨シーズンの終盤にはリリーフで安定した投球を見せており、状態はかなり良くなっているように見える。このキャンプでは先発としての調整を続け、2月25日の楽天とのオープン戦では最速157キロもマークしている。これまでも調子が良いと思われたら故障ということの繰り返しだっただけに、まずはしっかりオープン戦を乗り切ることが第一目標となるが、万全の状態で開幕を迎えることができれば、大きな戦力となる可能性もありそうだ。

 セ・リーグでは昨年もこの企画で取り上げた床田寛樹(広島)を再び推したい。昨シーズンは開幕から好調を維持し、前半戦だけで自己最多となる8勝をマークするなど安定したピッチングを続けていたが、8月3日のDeNA戦で走塁の際に右足を骨折。長期離脱となり、そのままシーズンを終えることとなった。このアクシデントさえなければ二桁勝利はもちろん、タイトル争いに絡んでいた可能性もあっただけに、相当悔しい1年となったはずだ。

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床田の仕上がりは“上々”