野球界で今年最大のイベントといえば、なんといってもワールドベースボールクラシック(以下WBC)になるだろう。ダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(エンゼルス)、鈴木誠也(カブス)、吉田正尚(レッドソックス)、ヌートバー(カージナルス)と5人のメジャーリーガーが出場することもあって3大会ぶりの優勝への期待も大きく、キャンプ地の宮崎は大変な盛り上がりを見せた。

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 ただその一方で各球団からのファンからすると、侍ジャパンに選ばれた選手への負担も気になるところではないだろうか。今年から先発に転向する平良海馬(西武)はシーズン前の調整を優先してメンバー入りを辞退したと報じられている。ではWBCに多くの選手を派遣した球団は本当にそのシーズンで苦しんでいることが多いのだろうか。過去の4大会から検証してみたいと思う。

 まず過去4大会に3人以上の選手を派遣した球団について、順位の変動をまとめてみたところ、以下のようになった。

・2006年
ロッテ(8人):1位→4位
ソフトバンク(5人):2位→3位
ヤクルト(4人):4位→3位
横浜(3人):3位→6位
※2005年のパ・リーグは勝率では1位がソフトバンク、2位がロッテも、プレーオフに結果ロッテが優勝。

・2009年
巨人(5人):1位→1位
西武(3人):1位→4位
ソフトバンク(3人):6位→3位

・2013年
巨人(7人):1位→1位
ソフトバンク(6人):3位→4位
西武(3人):2位→2位

2017年
ソフトバンク(4人):2位→1位
日本ハム(4人):1位→5位
西武(3人):4位→2位
広島(3人):1位→1位
巨人(3人):2位→4位

 過去の4大会で3人以上の選手を派遣した球団は合計15例あったが、前年順位との変動を見てみると低下が7チーム、維持が4チーム、上昇が4チームという結果となった。この数字だけを見ると、やはり主力選手がWBCに出場することによるチームへのマイナス面は少なからずあると言えるのではないだろうか。特に影響が大きかったのが優勝からBクラスに転落した2006年のロッテ、2017年の日本ハムだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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