倖田來未(撮影/加藤夏子)
倖田來未(撮影/加藤夏子)

 だが、母親からは「倖田來未は倖田來未で、普段はくぅちゃんはくぅちゃんだから大丈夫」と言われていた。それゆえ、倖田には、そうした扱いも意に介さない強いハートがあった。いつしか、メディアでは「エロかっこいい」という称号がつけられるようになった。

「最初はどこかのスポーツ紙がつけてくれたと聞いています。『エロかっこいい』という倖田來未の代名詞をつけていただいたおかげで、初めて自分が肯定された気持ちになれました。それからは、より私にしかできないこと、自分らしさを求め続けました」

 そして、2004年5月。アニメ「キューティーハニー」の主題歌のカバー曲が大ヒット。”エロかっこいい”というワードが全国に広まっていった。だが「キューティーハニー」も最初から売れたわけではなかった。

「発売当初はサラッとしたもので、それほど反響があったわけではありませんでした。むしろ、波に乗り損ねた感じでした。でも、その年の年末に『ミュージックステーション』の出演オファーをいただいて、そこで披露したら、直後からバーッと売れ出したんです」

 このテレビ出演のインパクトが強烈だったのだろう。「キューティーハニー」は瞬く間にヒットして、翌年には日本レコード大賞を受賞、NHK紅白歌合戦への初出場も果たした。06年にリリースしたベストアルバムは180万枚を超えるセールスを記録した。倖田はこう振り返る。

「何年たっても、名曲というのは名曲でいてくれるんだなと再確認できるのが、『キューティーハニー』という曲なんです」

(AERA dot.編集部・上田耕司)

※後編<結婚12年目「倖田來未」が明かす“夫と息子”との私生活>に続く

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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