■O脚の人、肥満の人は特に注意が必要

 変形性膝関節症の痛みについて、慶応義塾大学病院整形外科准教授の二木康夫医師はこう説明します。

「60代以降で発症することが多く、男女比は2:8で女性に多いです。痛みの多くは膝関節の内側ですが、歩いたり、階段を上り下りしたりと、運動時がほとんどです。座っているときや寝ている安静時には痛まないことがほとんどです」

 過去に膝関節にスポーツなどで半月板や十字靱帯を痛めた経験があると変形性膝関節症を発症しやすくなります。

「半月板や膝関節の安定に重要な十字靱帯が損傷していれば、早くから軟骨が摩耗してしまいます。O脚の人や肥満の人、重いものを担ぐ重労働者,関節リウマチの人も膝関節に負荷がかかるため、発症しやすくなります」(二木医師)

■軽い痛みであれば、積極的な運動で改善も

 通常、変形性膝関節症は診察所見とX線検査やMRIによる画像検査で診断されます。一度変形した関節は元には戻りません。しかし生活の工夫や薬物療法、運動療法などの保存療法によって症状を和らげ、進行を防ぐことは可能です。

 まずはひざに負担のかかる正座などの姿勢や階段の使用を避けるといった生活動作の改善をします。ひざの負担を減らすための減量や痛み止めの内服や消炎剤入りの湿布を貼付する薬物療法もおこないます。なかでも重要なのはひざの機能を維持するためのストレッチや筋力訓練などの運動療法です。

「痛いからと安静にし過ぎてしまうと筋力が低下して痛みは強まってしまいます。軽い痛み程度であればむしろ積極的に筋力訓練をおこなったほうが痛みはとれていきます」(同)

 症状によっては、ヒアルロン酸ナトリウムの関節内注射でひざの状態を改善します。これら保存療法を実施しても膝関節の変形が進み、痛みの改善が思わしくなく、痛み止めによる痛みのコントロールが難しくなった場合には手術が検討されます。

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損傷部位によって、手術の方法が決まる