膝関節の内側、または外側だけ軟骨が磨り減っていて、そこが痛みの原因になっている人にはUKAが選択されることもあります。

「内側、または外側しか骨を切らないので手術時間も短く、出血も少なく、十字靱帯も温存できる。術後の痛みも少なく、復帰も早い。人工関節が入っても、ひざの違和感が少ないのも特徴です」(同)

 UKAの術後は、それほど激しく動かないテニスやゴルフ程度のスポーツは可能です。UKAは対象に若年者が多いこともあり、術後の活動度が高まり、ゆるみが出やすいというデメリットがあります。ゆるみが出てしまった場合は、TKAでの再置換術がおこなわれます。

■早めの受診で、治療の選択肢も広がる

 人工膝関節の手術では近年、コンピューターナビゲーション、ロボット支援手術を取り入れる病院も増えてきています。3次元CTによる術前計画通りの角度で骨を切り、人工関節を設置できるため、より精密な手術が可能になっています。

 術後、日常生活に戻るまでにはリハビリも不可欠です。生活環境によって必要なリハビリの内容も変わるため、術後のリハビリまで包括的に実施する病院では入院期間も長くなる傾向にあります。

「家に段差や階段のある環境であれば、それに適応できるようになるまでリハビリする必要があります。さらに、高齢であれば要する期間も若い人より長くなるでしょう」(高橋医師)

 変形性膝関節症は徐々に進行する病気です。変形が進むにつれ、痛みが増し、歩くことも困難になっていきます。骨切り術やTKA、UKAといった治療法の選択についても、変形性膝関節症が進行するほど、その選択肢は限られてしまいます。痛みを我慢せず、早めの受診を心がけましょう。

(文・石川美香子)

【取材した医師】
慶応義塾大学病院整形外科准教授 二木康夫 医師
本機能病院整形外科部長・人工関節センター長・臨床研究室長 高橋知幹 医師

慶応義塾大学病院整形外科准教授 二木康夫 医師
慶応義塾大学病院整形外科准教授 二木康夫 医師
熊本機能病院整形外科部長・人工関節センター長・臨床研究室長 高橋知幹 医師
熊本機能病院整形外科部長・人工関節センター長・臨床研究室長 高橋知幹 医師

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