取材当日、坂本教授のゼミでは、人工知能をテーマに4年生がプレゼンテーションを行っていた。宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」のテキストデータを複数の機械学習プログラムで読み込み、どのプログラムが最も宮沢賢治らしい文章を創作できるかを比較分析する。

■世界で活躍するエンジニアを育成

「本学では、単に知識を身につけるだけでなく、コミュニケーション力やプレゼンテーション力を備えたグローバルエンジニアを育成しています。国際交流も推進しており、充実した海外派遣プログラムを用意しています」

 19年度には、32カ国・地域へ706人が留学。これは8人に1人の割合で、日本人学生の留学比率は国立大学で3位だ。コロナ禍では20年9月からオンライン留学をスタートし、21年度は10件のプログラムに延べ80人が参加した。

 こうした教育が実を結び、学部卒業生の実就職率は14年から99%以上と高い水準を誇る(60%以上が大学院へ進学)。情報工学部のキャリア支援室長を務める久代紀之教授は、卒業生の進路選択基準に変化が見られると話す。

「これまでは自動車や産業機器分野が主流でしたが、近年は外資系企業や情報産業を志望する学生が増えています。安定性よりも自己実現性を重視する傾向があり、インターンシップから採用につながるケースも多く見られます」

 坂本教授のゼミに所属する4年生2人は、IT系のメガベンチャーに就職予定だ。

「学外のコミュニティーにも参加し、積極的にDSを学んできました。ゲーム開発のバックエンドエンジニアとして内定を得ましたが、勉強を続けて職域を広げたいと考えています」(友利拓誠さん)

「機械学習の知識を生かして、エンジニアとして活躍したいです。将来海外で働くことも視野に入れ、英語の勉強も続けています」(古賀秋音さん)

次のページ
オリジナル教材を使ってAIやDSの楽しさを伝える