今年の出雲、全日本でともに2位に食い込んだ國學院大では、「四本柱」の一人である平林清澄(2年)の2区出走が有力だ。前回の箱根では“裏エース区間”の9区を走って5人抜きで区間2位と好走。その後の3月に行われた日本学生ハーフでは1年生ながら見事、優勝を果たした。2年生となった今年度は、出雲3区、全日本7区とエース区間を走り、出雲では田澤と16秒差の区間6位、全日本では田澤と1分20秒差の区間4位。力の差を感じながらも“失敗しない男”として安定感は抜群。将来的にフルマラソン日本代表を期待される男にとっては箱根の距離延長は大歓迎で、1区で駒澤大を筆頭にした有力校よりも好順位で襷を受け取れば、そのまま逃げ切ることは十分に可能だ。前回大会で2区を走った伊地知賢造(3年)も候補になる中で、中西大翔(4年)、山本歩夢(2年)らを含めて前田康弘監督の作戦にも注目だ。

 前回大会2位で、今年度も出雲5位、全日本4位と上位争いを続ける順天堂大は、“オリンピアン”三浦龍司(3年)の配置が一つのポイントになるが、持ち味であるスピードを最も生かせるのはやはり1区だろう。そうなると、伊豫田達弥(4年)の2区出走を期待したい。前回の箱根は3区で区間3位の走りを見せてチーム全体に追い上げの流れを作り、今年5月には関東インカレ1部10000mで優勝。その後の出雲、全日本では、ともにエース区間を担当(出雲3区8位、全日本7区6位)して箱根への布石を打った。2年時に2区を走った野村優作(4年)も調子次第で有力候補になるが、いずれにしてもスタートダッシュに失敗している近年の箱根を考えると、優勝を狙うためには1区、2区で先手を打ちたい。2区までに駒澤大、青山学院大よりも前を走り、レースの主導権を握りたい。

“史上最強”イェゴン・ヴィンセント(4年)が復帰してダークホースとして名乗りを上げている東京国際大では、日本人エースの丹所健(4年)の2区出走が濃厚だ。1、2年時の箱根はともに1区を走って区間13位、14位と力を発揮できなかったが、3年時の前回は3区で区間賞の走りを披露した。最終学年となった今年度は、出雲3区で区間5位、全日本2区で区間8位と不完全燃焼ながら、自身が生まれ育った地元・戸塚を走る「花の2区」の初出走へ向けて闘志を燃やしている。その一方で、2年時に衝撃的な14人抜き&区間新をマークしたヴィンセントの3年連続2区出走も考えられる。ただ、出雲、全日本を故障で回避し、箱根には「問題ない」とエントリーしたが、状態が100%ではないことは確か。今後の復調次第の面はあるが、現時点では負担の少ない4区を走り、箱根3区間(2区、3区、4区)での区間記録保持を狙うプランにも魅力を感じる。果たしてどうなるか。当日のエントリー変更も含めてレース直前まで注視したい。

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