前回の箱根駅伝では1区で驚異的な走りを見せた中央大・吉居大和
前回の箱根駅伝では1区で驚異的な走りを見せた中央大・吉居大和

 来春に行われる第99回箱根駅伝(2023年1月2、3日)のチームエントリー(1チーム16人)が12月10日に発表された。駒澤大の「史上5校目の三冠」への挑戦に関心が集まる中、各校のエースたちが顔を揃える「花の2区」では、どのような勝負が展開されるのか。鶴見中継所からと戸塚中継所までの23.1kmを彩る“注目ランナー”をチーム別に紹介したい。

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 出走が確実視され実力、注目度ともにナンバーワンなのが、出雲、全日本を圧倒的な強さで制した駒澤大の大エース・田澤廉(4年)だ。前回の箱根でも2区を走り、歴代4位の1時間06分13秒の好タイムで走り、計5人のケニア人留学生たちを上回って区間賞を獲得した。だが、17km通過までは2021年に東洋大・相澤晃(当時4年)がマークした日本人最高タイム(1時間05分57秒)のペースを6秒上回る走りで、史上3人目の1時間5台への期待も高まっていただけに本人も満足はしていない。今年度は出雲で3区2位、全日本で7区1位。自身最後の箱根では、2021年に東京国際大のイェゴン・ヴィンセント(当時2年)がマークした区間記録(1時間05分49秒)の更新を期待したい。三冠達成へ向けては田澤が5位以内で襷を受けて2区の区間中盤までにはトップに立つ形が理想。順位と同時に記録との勝負にも注目が集まる。

 同じく出走確実なのが、箱根連覇を目指す青山学院大のエース・近藤幸太郎(4年)だ。前回の箱根では2区を初めて走り、区間7位(日本人3位)の1時間07分09秒で田澤とは56秒差だった。期待を高まらせているのは今年度の充実ぶりで、距離8.5kmの出雲3区で田澤とわずか1秒差の走りを見せ、距離17.6kmの全日本7区でも田澤に14秒差と食い下がった。距離23.1 kmの箱根2区には、13キロ過ぎからの難所「権田坂」とラスト3キロの「戸塚の壁」が立ちはだかるが、すでに前回大会で経験済みである点は大きい。腰高で背筋が伸びた美しいフォーム。目立たなかった高校時代から青学メソッドの中で大きく成長し、今や学生長距離界を代表する存在になった男の箱根ラストラン。田澤とは過去4度の直接対決で0勝4敗だが、その差は縮まってきている。まずは今年の出雲、全日本では実現しなかった田澤との“並走”を期待したい。

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田澤、近藤以外の“注目選手”は?