今回の事件が起きたことについて町に聞くと、

「郵便の開封を複数でやるなどの対策はしていませんでした。普段は手の空いた職員がやるので阿部容疑者一人だけということではなかったのですが……」

 と説明する。

 大阪府警は12月8日、徳島県警と合同で町役場を家宅捜索した。

 捜査関係者は、

「平石容疑者は金容疑者に、犯行グループが本籍地を藍住町に移転すれば、警察の動きがあったときに捜査照会がくるので情報が取れる、と売り込んでいた。実際、犯行グループの数人が、居住はしていない藍住町に本籍をかえていた。また、犯行グループの徳島市内にあった大麻栽培の拠点を藍住町の倉庫に、と金容疑者に持ちかけていた。平石容疑者はカネ目当てで、金容疑者に働きかけていたようだ。副議長が、大麻栽培という犯罪を町に誘致するなんてとんでもない話」

 と話す。平石容疑者がカネ欲しさから、金容疑者にさまざまな案件を持ちかけていたと見ており、今回以外にも情報漏洩(ろうえい)がなかったか、慎重に捜査を進めている。

 先の支援者は、平石容疑者が逮捕された、と知らされたとき、

「驚かなかったです。やっぱりなという感じです」

 と感想を漏らす。

 町議会がYoutubeにアップしている動画で、「よりよい、住みよい街づくりを」などと訴えていた平石容疑者。どんな思いで話していたのだろうか。

平石賢治容疑者が使っていた副議長席
平石賢治容疑者が使っていた副議長席

(AERA dot.編集部 今西憲之)

著者プロフィールを見る
今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

今西憲之の記事一覧はこちら
暮らしとモノ班 for promotion
中森明菜、松田聖子、チェッカーズ…今こそ聴きたい!80年代アイドルCD20選