さらに定期テストで学習評価をするにしても課題が残る。

 学習評価は20年前までクラスの中での順位によって5段階の評定をつける「相対評価」が行われていた。しかし、現在は順位に関係なく評価基準に対する達成の度合いで評定をつける「絶対評価」が行われている――はずだが、実際にはそうとも言えないようだ。

「われわれが行っているのは『絶対評価』です。ところが、厳格な絶対評価ができるか、といったら、そうではないんですよ」と、待谷さんは漏らす。

 例えば、あるテスト問題について30点以下を評価1と定めたとする。

「ところが、テストを実施したところ、30点以下が学年の半分くらいいたら、それに1をつけることになるわけじゃないですか。でも、そのとおりに実行したら大問題です。ですから、ある程度、相対評価を踏まえた絶対評価になっています」(待谷さん)

■問題は学校間の差

 國井さんも、待谷さんも、できるかぎり生徒を公平に評価しようと努力してきた。しかし、生徒を評価するのは大きさや重さを計測するのとはわけが違う。

「完全に平等公平に評価しているのか、と問われれば、絶対そうです、と自信を持って言い切れる教員は少ないのではないか」(待谷さん)という現実がある。それでも、同じ学校内であれば、ある程度公平な評価が行われていると感じてきた。

 一方、「学校間ではかなり差があるのは事実」と、待谷さんは指摘する。

 というのも、教育熱心な保護者が集まる学区と、そうでない学区の中学校では、例えば同じ学習評価の「5」でも重みがかなり異なってくるからだ。

「ですから、今の調査書で、すべての生徒を平等に評価するのは不可能だと感じています」(待谷さん)

 では、どうすれば平等な内申書になるのか?

「この回答にある多くの保護者が要望するように、本当に評価基準をはっきりとさせるのであれば、各都道府県で全く同じテストを作成して、全中学校で同じ時期にテストを行い、何点だったら評定の数字がいくつ、とやるしか方法はないのではないでしょうか。そして、それ以外のものについてはいっさい評価しない」(國井さん)

「そうすれば、平等な評価になるでしょう」(待谷さん)

「でも、そうなると塾が増えそうです。生徒たちは学校から離れていくのではないでしょうか」(國井さん)

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内申点を上げるには?