――義足エンジニアとはどのような仕事ですか。

 名前のとおり「義足に関わるエンジニア」のことです。義足を作る仕事に「義肢装具士」がありますが、義肢装具士は切った足にはめ込む装具を作って組み立てる人。これに対して義足エンジニアは義足のパーツを作る仕事です。義足を必要とする人は、人によって足の切断面や形がちがうので、特殊なパーツを使って装着しなければなりません。このパーツを作るのが義足エンジニアです。

 ――この研究をはじめたきっかけはどんなことでしたか。

 ぼくはもともと「アシモ」のような二足歩行のロボットの研究をしていたんです。それがあるとき、高校時代の後輩が骨肉腫という病気になって足を切断しなければいけなくなった。彼をはげまそうと、二足歩行のロボットに乗り、自分で操縦して足の代わりに歩く研究も進んでいると話したら、「ぼくは自分の足で歩きたいんだ」と言われてしまって……。

 それまでのぼくが行っていた研究では「自分の足で歩きたい」という彼の思いに応えられないことに気づき、ロボット義足研究の第一人者であるMITメディアラボのヒュー・ハー教授のもとで学ぶため、アメリカのマサチューセッツ工科大に留学しました。

 ――義足のほかにどんなものを作っているのですか。

 ぼくは昔からバスケットボールが好きで、高校のときはバスケットボール部に所属していたんですが、その経験もあり、最近、バスケットボールのシューティングマシンを作りました。バスケットボールってシュート練習をしようと思うと、投げたボールをいちいち拾いにいかなきゃいけないので、一人で練習をするのが難しいんです。でも、シューティングマシンを使えば、シュートしたボールが勝手に戻ってきてくれるので一人でも効率よくシュート練習ができます。

 バスケットボールをする人ならだれでも魅力に感じるマシンだと思いますが、特に車椅子バスケの選手は、どうしても通常の選手よりも移動に時間がかかってしまうので、これを使うことでロスタイムを大幅に減らせるはずです。これからも、こんなふうに使い手がよろこんでくれるものづくりを続けていきたいと思います。

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これを「日本のお菓子」だと思ってほしくない