遠藤謙さん。障がいが理由で、やりたいことをあきらめなくていいように、テクノロジーの力でサポートしている
遠藤謙さん。障がいが理由で、やりたいことをあきらめなくていいように、テクノロジーの力でサポートしている

 第一生命によると、2022年3月に発表した最新の「大人になったらなりたいもの」調査(実施は21年12月)で、目立って順位を上げた職種がある。医療関係の職種だ。

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 調査対象となったのは、全国の小中高校生3000人。とりわけ小学生の男女で医療関係の職種が順位を上げ、小学生男子では「医師」が6位に、女子では「看護師」が2位、「医師」が5位にランクインしている。第一生命は、テレビなどを通じて医療現場で働く人々の姿を目にする機会が多かったことが影響したのではないか、と分析している。

 実際、小学生の「なりたいもの」は、会社員やYouTuber、パティシエや幼稚園の先生・保育士、サッカー選手などなど、自分が見たことがあったり接したことがあったりする職業、つまり「知っている仕事」が上位を占める。しかし、子どもの目には見えない仕事や、親の時代には「なかった」仕事が現代社会を支えているのも事実。だからだろうか、ここ数年、子どもたちに「やりたい仕事を見つけよう」「将来の夢を探そう」と呼びかける「お仕事本」が相次いで出版されている。

 8月に発売された『なりたい!が見つかるお仕事図鑑』(朝日新聞出版)も、そんなお仕事本の一つ。今回はこの本の中から、自分で生み出した仕事やかつてはなかった仕事に向き合う3人のインタビューを紹介したい。

競技用義足や、ロボット技術に関わる
開発・研究を行っている遠藤謙さん

 遠藤謙さんは、慶應義塾大学大学院で二足歩行ロボットについて研究したのち、マサチューセッツ工科大学(MIT)に留学。そこで、人間の身体能力の解析や義足の開発の研究に出合う。帰国後、Xiborg(サイボーグ)を設立。プロダクトエンジニア、義足エンジニアとして、アスリートのための競技用義足を開発しているほか、乙武洋匡さんがロボット義足を装着して歩行にチャレンジする「OTOTAKE PROJECT」にも取り組んでいる。

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「ぼくは自分の足で歩きたいんだ」