「前向きでガムシャラな選手をスタンドの観客が後押しする。北海道移転後の日本ハムを象徴するような試合で、今後に大きな期待を抱かせた。しかし現実はそこまで甘くない。この試合に足を運んだうち、どのくらいの人が来年以降も新球場へ足を運ぶかは未知数。燃え尽きる前に大きくなるロウソクの炎でなければ良いのですが……」(北海道のテレビ局関係者)

 北海道へ日本ハムがやって来てから長い歳月が経過した。その間にチームはBOS(ベースボール・オペレーション・システム)と呼ばれる独自の球団運営システムを採用し、強豪チームへと生まれ変わった。ダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(エンゼルス)など人気と実力を兼ね備えた選手も多く誕生した。

 また、グラウンド外では米国を参考にした積極的なファンサービスを展開し、人気チームの仲間入りを果たした。北海道は元来巨人ファンが多い土地柄であり、移転当初は地元密着に不安の声すらあった。しかしそれを覆してプロ球団の成功モデルとして、たびたび取り上げられた。

「日本ハムはプロスポーツのチームとしての成功例。東京時代はBクラス常連でスタンドは空席ばかり。昭和時代からある伝統的な『親会社ありき』の球団だった。北海道移転後は180度変化、魅力を感じて多くのファンが札幌ドームに集まった。しかし中田翔(巨人)の暴力事件など、多くの問題が噴出し始めた。過渡期に差し掛かっているのは間違いない。新球場が再出発の起爆剤となるかどうか」(スポーツマネージメント会社関係者)

 ホテル、温泉、アウトドアショップ、施設内でのグランピング……。新球場のエスコンフィールド北海道に関して、多くの情報が発信され始めた。しかし球場への具体的なアクセス方法など、地元ファンが知りたい情報が十分とは言えず不満の声も聞こえてくる。

 例えば、球場の北側を通るJR千歳線に新駅設置が予定されているが、開業は2027年度末の予定。当面の最寄駅はJR北広島駅となるが球場までは1.7kmほど離れた場所にある。札幌市をはじめ各方面からバスや車で向かう場合、大渋滞も予想されているほどだ。

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新球場の移転は“吉”と出るか