では、具体的に何をすればいいのか。

「肩までつかって、5まで一緒に数えるよ」などと楽しく声をかけ、「よーし、できたね!」とほめるのも大切
「肩までつかって、5まで一緒に数えるよ」などと楽しく声をかけ、「よーし、できたね!」とほめるのも大切

 例えば、「親子で湯船につかってかずを数える」というおなじみの場面も、自然にかずを認識できるようになるためのいい体験だ。まずは親子で一緒に、次に子ども一人で10まで数え、慣れてきたら10から1までを逆に言ってみる。さらに「1、3、5」、「2、4、6」などと、ゲーム感覚で一つ飛ばしに言ってみるのも楽しい。1から10までのかずをしっかり身につけ、それを使って遊ぶことで、かずの感覚が育つという。

ボールやタイヤ、マンホールのふたなど、何気なく見ているものの形に注目。生活の中にはいろんな形が潜んでいる
ボールやタイヤ、マンホールのふたなど、何気なく見ているものの形に注目。生活の中にはいろんな形が潜んでいる

「かたちを探して歩く」ことも図形の認識につながる遊びになる。街を歩きながら、丸い形のものを親子で探して、どちらがたくさん見つけられるか競争するのはどうだろう。もちろん、四角いもの探し、三角のもの探しもいい。四角形にはいろんな種類があるし、三角形は「角が三つ」を認識することがポイントだ。

 子どもたちが大好きなお買い物ごっこでも、かずの感覚を育てることができる。例えば、あめを12個用意して、2個ずつを袋に入れ、「2個入り」の商品を作る。全部で何袋できたか数えてみる。さらに、同じ12個のあめを3個ずつ袋に入れると、全部で何袋になるか数えてみる……。こうしてかずのまとまりを意識することは、かけ算やわり算の感覚につながっていく。こうした日々の働きかけで、「さんすう体験」は積み重なっていくのだ。

 2020年度に学習指導要領が変わり、「ゆとり教育」は完全に過去のもの。さんすうが苦手な子の低年齢化が進んでいると大迫代表は言う。「積み重ね」が大事な教科であるさんすうで最初につまずかないために、「あっ、これやったことある!」と思える下地作りを入学前に進めておきたい。大迫代表が監修した『さんすうができる子になる遊びワーク』では、この記事で取り上げたものを含め、日常生活や遊びの中で「さんすう体験」を積み重ねるためのノウハウを多数紹介している。
(構成 生活・文化編集部 端 香里/イラスト たはらともみ)