なかやまきんに君
なかやまきんに君

 雑誌『Newsweek日本版』2022年9月6日号(CCCメディアハウス)の「世界に挑戦する日本人20」という特集にボディビルダー芸人のなかやまきんに君が登場した。

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 エンタメ界の各ジャンルで世界市場に挑んでいる人を紹介するこの企画の中で、彼が今年5月にアメリカ・ロサンゼルスで行われた「マッスルビーチ・インターナショナル・クラシック」で優勝したことが取り上げられていた。きんに君が参加した「メンズマスターズ40歳クラス」は出場者が2人だけだったのだが、彼は「優勝は優勝です」と胸を張ってツイートしていた。

 きんに君のボディビルに対する情熱は本物だ。筋肉を売り物にしている彼は日々のトレーニングを欠かすことはなく、8月28日開催の「JBBF第34回日本マスターズ選手権」の40歳以上級では6位入賞を果たした。

 それだけではない。最近の彼は芸人としての仕事も順調に増えている。2021年に吉本興業を退所して独立した彼のもとには、それまで以上に仕事のオファーが殺到した。2022年の1月から6月までの間に17社からのCMのオファーを受けたと報じられた。長く芸能活動を続けてきたきんに君が、今これほど注目されているのはなぜなのか。

 その理由は大きく分けて3つ考えられる。1つは、ここ数年で筋肉を鍛える人が増えてきたことだ。トレーニングで筋肉を鍛えるのはごく一部のボディビル愛好家だけ、という時代は終わった。今では多くのプロスポーツでウェイトトレーニングが導入されているし、一般の男性だけでなく女性がスポーツジムで筋トレに励む姿も珍しいものではなくなった。

 2018年には武田真治らが出演する『みんなで筋肉体操』(NHK)というミニ番組が話題になり、番組内で出てくる「筋肉は裏切らない」というフレーズがユーキャン新語・流行語大賞の候補にも選ばれた。武田をはじめとして、最近では筋肉を売りにするタレントも増えている。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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