■トラの介護中、自分がコロナに

 トラは無事に2022年を迎え、5月に13歳の誕生日を迎えました。

「このまま奇跡がおきないかしら」と思いましたが、誕生日前から少しずつ食欲が落ち、トイレにたどり着けないことも増えました。

 そこから緩やかな坂道を下りていくトラの伴走を、続けました。

 7月に入ると、トラは水を飲まなくなってきたので、先生にも相談し、点滴を家でするようになりました。おもらしをするので、夜だけ用おむつを当てるようになって。

 食事は、介護食を5CCずつシリンジで日に数回あげました。元々、丸々とした体だったのに、1週間でおむつがMからSサイズになった時は、こたえましたね。

 でも、私は笑顔でトラと向き合いました。終末期を専門としている獣医師が、SNSでこんなことを発信していたのです。

「(犬や猫が)日々の失敗をした時、否定的な声かけをしないで“小さい成功”をたくさん見つけて褒めてあげてほしい。褒めると、ぼーっとした目がキラッと光る瞬間がある」

 だから私も悲しまず、えらいよ、と小さなことでもトラを褒めました。

たくさんトラを褒めました
たくさんトラを褒めました

 その後、8月6日くらいにトラは寝たきりになったのですが、何とそのタイミングで私はコロナに感染。でも自宅療養ができたので、トラと濃密な時間を過ごせたのです。

 友人が、「それはきっとトラちゃんが一緒にいたいから神様にお願いしたんじゃないかな?」なんて言ってくれました。本当に、そんな気がしました。

■穏やかな看取り

 8月12日夜、皮下点滴の準備をしてトラの元にいくと、反応が鈍く、「トラ?」と声をかけると、首を上げうっすら目を開けたのですが、そのまま動かなくなりました……。

 息子を呼んで、それから、動物看護師をしている娘にビデオラインで様子を見てもらいました。あまりにも穏やかだったので、娘に「どう?」と聞いたほど。でも、おなかに顔をつけても、もう鼓動は聞こえません。

次のページ