東海大札幌・門別啓人(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)
東海大札幌・門別啓人(写真提供・プロアマ野球研究所 PABB)

 いよいよ夏の甲子園も大詰めの時期となった。ドラフト候補としては3本のホームランを放った浅野翔吾(高松商)を筆頭に、強肩強打の捕手である松尾汐恩(大阪桐蔭)、準々決勝までの4試合中3試合で二桁奪三振をマークした山田陽翔(近江)などが高い評価を得たと見られている。

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 しかし過去にも佐々木朗希(大船渡→2019年ロッテ1位)や昨年の森木大智(高知→阪神1位)のように春夏の甲子園未出場ながら高い評価でプロ入りしている選手は少なくない。今回はそんな甲子園に立つことができなかった選手で、有力なドラフト候補になりそうな選手をピックアップして紹介したいと思う。

 まず投手では斉藤優汰(苫小牧中央)、門別啓人(東海大札幌)、安西叶翔(常葉大菊川)の3人が有力候補だ。中でもスケールの大きさが光るのが斉藤だ。190cm近い長身と堂々とした体格から投げ込むストレートは最速151キロを誇り、アベレージのスピードも速い。春の全道大会では強豪の北海を相手に11奪三振で2失点完投勝利。夏も準決勝で敗れたものの、地区大会から4試合連続完投勝利と見事なピッチングを見せた。細かいコントロールなど未完成な部分もあるが、変化球も決して悪くない。スケールを求める球団は高い順位で狙いにいく可能性は高いだろう。

 人気になりやすいサウスポーでは門別が筆頭だ。昨年から北海道内では評判で、今年春の札幌地区予選では1試合20奪三振もマークしている。夏の初登板となった試合でもヤクルトが6人体制で視察に訪れるなど多くの注目を集める中で、14奪三振完封と圧巻のピッチングを見せた。下半身が強く、楽に投げて140キロ台をマークするストレートは勢い十分。高校生サウスポーにしてはコントロールも安定しており、何より狙って三振を奪えるというのは大きな魅力だ。若手の左投手が不足している球団にとっては非常に魅力的な投手と言えるだろう。

 安西はこの夏急浮上してきた大型右腕。サイドスローとスリークォーターの中間くらいの腕の振りで、独特のボールの角度があるのが長所。コンスタントに140キロ台中盤をマークし、球持ちも長いため高めも低めもボールの勢いが落ちない。打者の手元で鋭く変化するスライダーも一級品だ。斉藤と同様に少し時間のかかるタイプに見えるが、スケールの大きさは魅力である。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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